1901年にグリッグス家がイギリスでスタートした製靴業に端を発し、以来様々なシューズを生み出し多彩なカルチャーとその時代を歩んできたブランド、ドクターマーチン。
日本法人であるドクターマーチン・エアウエアジャパン株式会社では、同ブランドの靴・アパレル商品の輸入・卸売・小売の事業を展開しています。今回は、同社が運営する公式オンラインショップで2020年5月よりご利用中の不正検知サービス「O-PLUX」について、導入の経緯やご利用状況などのお話をEコマース部ご担当者様にうかがいました。
公式オンラインショップのメインの利用者層は新規のお客様。ブランド認知度の高さからサーチでの流入が強い
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公式オンラインショップのご利用は、やはりドクターマーチンのファンの方が多いのでしょうか。
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ファンというとリピーターというイメージをお持ちだと思いますが、公式オンラインショップのご利用比率としては新規のお客様が多いですね。先日アンケート調査を実施したのですが、特に、店舗でみて公式オンラインショップで購入するというパターンが顧客全体の35%で、大きなウエイトを占めます。
具体的なプロセスとしては、街で実際に履いている人からブランドの存在を知り店舗で実際の商品を見る、自宅でウェブ検索して購入する、という流れですね。
ですので、とにかくサーチが強いです。時代の変化もあると思いますが、これまでの経験からもここまでサーチ率が高いのも珍しいと思います。注文件数も、2018年のサイトオープン以来、増え続けています。
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ブランドの認知度の高さゆえに新規での購入が多いのですね、納得です。利用される決済方法としてはやはりクレジットカード決済が多いのでしょうか?
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そうですね。クレジットカードとAmazonPayが同じくらいで、若干クレジットカードの利用が多いです。ちなみにオンラインで使用できる一般的な決済方法はほぼ導入しています。クレジットカード、代引き、AmazonPay、RakutenPay、PayPay、LINE Pay、Paidy、d払いです。
それまで使用していた不正検知の解除によりチャージバックが喫緊の課題に。検知精度の高さから、前職で利用していた「O-PLUX」を導入
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「O-PLUX」ご導入前は、不正対策はなにかされていたのでしょうか。
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以前は3Dセキュア1.0で対策をしていたようですが、諸般の事情で前任者が解除したとの話でした。
解除後しばらくして私が着任したわけですが、そのタイミングとほぼ同じくして届いたチャージバックの請求金額には驚きました。3Dセキュア1.0の解除が要因で、解除期間のチャージバックが膨れ上がっていたのです。
不正注文の減額保険に入ってはいましたが限度額の上限に達してしまい、それ以上は補償してもらえない状況になってしまいました。
クレジットカードでの不正利注文の手口が巧妙化
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それで、「O-PLUX」をご検討いただいたのですね。導入決定も稼働も非常に早い印象でした。
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実は前職でも「O-PLUX」を利用していて精度の高さは実証済みだったので一択でした。
それまでも小売業に携わっていたのでいろいろな不正検知システムを利用してきましたが、どれも遮断率は5〜6割程度。そのなかで「O-PLUX」は95%を超える遮断率で、きわめて精度が高かったです。
それと、弊社で利用しているECシステム「ebisumart」に「O-PLUX」がAPIで標準連携されていたことも、スピーディーに導入できた要因でしょう。
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そういうことだったのですね。ご評価いただきありがとうございます。
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不正の検知率の高さは、社内のグローバルからも問い合わせがくるほどです。「3Dセキュアも入れていないのに、どうやって検知しているの?」と。USでのグローバルセキュリティと日本法人での不正注文の売上比率を見ると、日本はグローバルと比較して断然低く抑えられているのでとても驚かれます。
グローバル比較でも高い検知率の「O-PLUX」。すべての注文を審査して万全の不正対策
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運用面についてですが、当初はクレジットカード不正の対策でご利用開始されたと思いますが、そのあとは代引き決済でも利用されているのですね。
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いまは決済方法を問わず、すべての注文を「O-PLUX」で審査しています。
運用としては、「O-PLUX」の自動審査結果がNG判定の時はあえて受注確定させて、目検で止めている部分もあります。自動キャンセルしてしまうとシステム的に抜け道を探すためのトライアルをされかねないので。
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しっかり対策されているのですね。ファンの多い商品を扱われているので、転売も心配ですよね。
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そうですね。会社としても転売は原則禁止していますし、商業目的の購買も然りです。やはり、良い商品をつくって一般のお客様に履いていただくことがブランドとして最も大切です。例えば、限定50足の商品を転売屋が買い占めてどこかのサイトで転売してしまうと、元々の意図が阻害されますので、ブランドとしてそれは避けたいですよね。
「O-PLUX」の機能:注文に不審な点がないか、複数の要素でリアルタイムに解析
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「O-PLUX」を利用されているなかで、ご要望などはありますでしょうか。
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「O-PLUX」の精度については信頼していますし、サービスに対して特段の要望はないですね。
世間的には3Dセキュア2.0の義務化が迫ってきているので、EC全体でどのように動いていくかについては関心があります。いずれにしても、「O-PLUX」は極めて精度が高いので、3Dセキュアと「O-PLUX」などの不正検知システムを併用していくというよりも、一つのシステムとして機能していくのがよいのではないかとは思いますね。ペイメントカンパニーの隆盛によって、今後も早い速度で決済手段の利用比率が変わっていくのでしょうし。
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さいごに、今後の展望についてお聞かせください。
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公式オンラインショップ単独でどうするかという閉じた思考はないですね。むしろ、直営店戦略において、オンライン・オフライン間でいかにお客様に行き来していただくかが主題になっています。公式オンラインショップと路面店舗によるコラボレーションですね。
それにより、より深く多彩なドクターマーチンの世界に触れていただいて、お買い物体験はもとより商品そのものも楽しんでいただきたい、そのように考えています。