「IRF(インターチェンジフィー)って何?」
「IRFの標準料率を確認することはできるの?」
など、IRFの言葉は知っていても詳細について理解できていないという方も多いのではないでしょうか。
IRF(インターチェンジフィー)とは、クレジットカード決済が行われた際に、アクワイアラがイシュアに支払う決済手数料のことを言います。
この記事では、
- IRF(インターチェンジフィー)とは
- クレジットカード決済で発生する3つの手数料
- IRFの標準料率が公開されている国際カードブランド3つ
などを解説していきます。
IRF(インターチェンジフィー)についての理解を深めたい方は、ぜひ本記事を最後まで読んでみてください。
目次
IRF(インターチェンジフィー)とは
IRF(インターチェンジフィー)とは、クレジットカード決済が行われた際に、アクワイアラがイシュアに支払う決済手数料のことを言います。
IRFが発生する仕組みについては、以下の図をご覧ください。
※引用:経済産業省
このIRFの料率は、国際カードブランド(MastercardやVisaなど)が決済方法やカードの種類などに応じて適正な料率を決めています。
上図でもお分かりいただけるように、クレジットカードの不正利用が発生しやすい決済方法やカードでは、IRFの料率が高くなります。
なお、実際に標準料率を公開している国際カードブランドについては、「5. IRFの標準料率が公開されている国際カードブランド3つ」で紹介しています。
アクワイアラとイシュアの違い
先程、IRFはアクワイアラからイシュアに支払われる決済手数料とお話ししましたが、そもそもアクワイアラとイシュアの違いを理解しておかなかればいけません。
両者の違いを分かりやすく説明した表を作成したので、以下をご覧ください。
アクワイアラ | イシュア | |
---|---|---|
役割 |
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代表的な会社 |
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上の表の代表的な会社を見ても分かるように、アクワイアラとイシュア両方を兼任している会社もあります。
大半の会社がアクワイアラとイシュア両方の業務を兼任していると言われていて、最近では役割を分けているケースは少ないです。
ちなみに、アクワイアラは世界各国に存在していますが、国際的ルールによってアクワイアラと加盟店は同一国でないといけないと定められています。
つまり、国内事業者が国際カードブランドの決済導入を行う場合は、日本法人のアクワイアラと契約しないといけないということです。
アクワイアラとイシュアの立ち位置については、以下の図をご覧ください。
アクワイアラとイシュアが同じ会社の場合はIRFは発生しない
大半の会社がアクワイアラとイシュア両方の業務を兼任していますが、例えば自社で加盟店契約(アクワイアラ)したお店で、自社が発行したカード(イシュア)が使われた場合、IRFは発生しません。
このような取引は、「オンアス(On-Us)取引」と呼ばれています。
※参考:経済産業省
例えば最近被害が急増しているクレジットカードの不正利用が発生した場合、オンアス取引の場合は支払いを保留し、カード会社の判断で決済を無効にすることができるので無駄なやりとりが発生しません。
しかし、オフアス取引の場合は、アクワイアラからイシュアに請求が起こされるので、それに対して代金請求の差し戻し手続きなどの面倒な作業が発生します。
クレジットカード業界におけるオンアス取引とオフアス取引の違いについては、以下の記事でも詳しく解説しています。
また、先程触れたクレジットカードの不正利用がどれだけ発生しているかについては、以下の記事で最新の情報を知ることができます。
クレジットカード決済には4つの手数料がある
クレジットカード決済には、先程説明したIRF(インターチェンジフィー)を含めて4つの手数料が発生しています。
- IRF(インターチェンジフィー)
- ブランドフィー
- 加盟店手数料
- ネットワーク利用料
それぞれの手数料がどこからどこに支払われているかの仕組みについて、以下で詳しく解説していきます。
1. IRF(インターチェンジフィー)
IRF(インターチェンジフィー)は先程もお話ししたように、クレジットカード決済でアクワイアラからイシュアに支払われる決済手数料です。
このIRFの料率は、国際カードブランドが決めていて、標準料率もそれぞれの国際カードブランドごとに公開しています。(5. IRFの標準料率が公開されている国際カードブランド3つ)
※参考:経済産業省
ただし、アクワイアラとイシュアが同じ会社だった場合は、IRFは発生しません。
2. 加盟店手数料
加盟店手数料は、カード加盟店がアクワイアラに支払う決済手数料です。
クレジットカード決済とは、カード会社が立替払いを行う信用取引であり、加盟店手数料はこの信用取引の対価として支払うものです。
※参考:経済産業省
この加盟店手数料率は、クレジットカード会社との契約内容ごとに異なります。
例えば、5,000円の商品を手数料率5%のクレジットカードで決済を行った場合は、加盟店手数料として250円が売上から引かれることになります。
3. ブランドフィー(ネットワーク利用料)
ブランドフィー(ネットワーク利用料)とは、カードネットワークの利用料として国際カードブランドから請求されるものです。
※参考:経済産業省
なお、国際カードブランドとアクワイアラが同一事業者の場合は、アクワイアラからのブランドフィーが存在しないケースもあります。
4. 銀行振込手数料
銀行振込手数料とは、アクワイアラと決済代行業者が銀行に支払う手数料です。
※参考:経済産業省
2022年にIRFの標準料率が公開
2022年にIRFの標準料率が公開され、誰もがネット上で確認できるようになりました。
IRFを公開することで、加盟店は業種によるコスト構造の違いを理解でき、価格交渉や乗り換え検討が可能となりました。
▼IRF(インターチェンジフィー)公開の意義
- 市場の透明性をより高めるため
- 加盟店の価格交渉などに活用できる情報を増やすため
- 加盟店負担を軽減するため
- コスト負担の在り方などに関する議論の活発化を図るため
※引用:経済産業省
IRFの標準料率が公開されている国際カードブランドについては、以下で紹介していきます。
IRFの標準料率が公開されている国際カードブランド3つ
最後に、IRFの標準料率が公開されている国際カードブランド3つを紹介します。
- Mastercard(マスターカード)
- Visa
- Union Pay (銀聯)
以下では、それぞれの国際カードブランドの標準料率が確認できるので、ぜひ参考にしてください。
1. Mastercard(マスターカード)
※引用:Mastercard
Mastercard(マスターカード)のIRF標準料率は、以下からご覧ください。
Mastercard(マスターカード)のIRF標準料率はこちら
Mastercard(マスターカード)の役割は、IRF料率を適切な水準に設定することにより、アクワイアラとイシュアの両方が有効な決済システムを最大限に活用したサービスを提供できるようにすることです。
また、革新的な決済ソリューションの成長および開発を促進していくということです。
2. Visa
※引用:VISA
VISAのIRF標準料率は、以下からご覧ください。
Visaは、決済ネットワークとして決済エコシステム全体の成長を促進しながら、セキュリティ及び安定性、バランスが確保されるためにIRF(インターチェンジフィー)を設定する重要な役割を担っています。
なお、アクワイアラとイシュアが同じ会社(オンアス取引)の場合は、VisaNetにて取引が処理されないので、IRFは適用されません。
3. Union Pay (銀聯)
※引用:Union Pay(銀聯)
Union Pay (銀聯)のIRF標準料率は、以下をご覧ください。
Union Pay(銀聯)は、現地市場の規制要件に準拠するため、市場の手数料を公開しています。
まとめ
この記事では、クレジットカード決済で発生するIRF(インターチェンジフィー)について解説してきました。
IRFとは、クレジットカード決済が行われた際に、アクワイアラがイシュアに支払う決済手数料のことです。
このIRFの料率は、国際カードブランド(MastercardやVisaなど)が決済方法やカードの種類などに応じて適正な料率を決めています。
他にもクレジットカード決済で発生する手数料は、IRFを含めて4つあります。
- IRF(インターチェンジフィー)
- ブランドフィー
- 加盟店手数料
- ネットワーク利用料
IRFをはじめ、クレジットカード決済で発生する手数料について理解することで、特に加盟店においては業種によるコスト構造の違いを理解でき、価格交渉や乗り換えが検討しやすくなるでしょう。