「アドフラウド」という言葉はご存知ですか?
ブロガーやYouTuber、アフィリエイターなど、Webを中心とした広告を通じて収益を得る職業がメジャーになりつつある昨今、メディアでも社会的な問題として取り上げられています。
この記事ではその「アドフラウド」に関して、言葉の意味から、どのような問題があるのかまで分かりやすく解説します。
目次
アドフラウド(adfraud)とは
アドフラウド(adfraud)とは、直訳すると広告詐欺という意味です。
Web広告業界などでは、無効なインプレッション(閲覧)やクリックで成約件数や効果を不正に水増しする行為を指します。
Googleなどの検索エンジンやWebサイト、YouTubeを見ると、近頃はあらゆるところに広告が設置されていますね。
これらの広告がクリックされたり、広告を経由して商品が購入されたりした場合、コンテンツの提供者は広告主から報酬を得ます。
細かい条件は契約内容によって異なりますが、YouTuberやブロガー、アフィリエイターなどは主にこうした広告からの収入で生計を立てています。
この広告収入の仕組みを不正に利用し、利益を増幅させるのが「アドフラウド」です。
その被害件数は増加しており、世界規模で問題視されています。
アドフラウド(adfraud)の手口・タイプ
現状、アドフラウドの手口はいくつかのタイプが報告されており、
- プログラムを悪用するもの
- ユーザー行動に合わせて自動リロードを引き起こすもの
- システムの脆弱性をついたもの
- クリックフローディング
- デバイスファーム
などが挙げられます。
ここでいうリロードとは、1度開いたWebページを再び読み込みなおすことを指します。
同じWebページなどのコンテンツを再表示させているだけなのですが、ページを見た(=広告を表示させた)回数は「2回」になります。
このリロードを自動で行うプログラムを仕込めば、不正者は表示回数を増やせるのです。
またクリックフローディングとは、ユーザーがアクセスした広告を不正に増して報告する手口です。
どのユーザーどの広告をアクセスしたかは、端末IDで管理します。それを利用して、一つの広告にアクセスしただけにも関わらず、他の複数の広告にアクセスしたよう改ざんする手口です。
そしてデバイスファームは端末IDをリセットすることで、複数の端末からインストールがあったかのように見せかける手口です。
このようにアドフラウドの手口は多岐にわたります。
アドフラウドは世界規模で問題に
東洋経済オンラインでは、英国の調査会社ジュニパー・リサーチの推計から「2018年は、広告主全体で1日当たり5100万ドル(約54億円)がアドフラウドによって失われる見込みだ。年間総額は190億ドル(約2兆円)」と触れています。
このように大きな被害が発生していることから、アドフラウドは世界規模の問題として、対策が求められています。
参考:「広告詐欺」との戦いは善戦?それとも苦戦?│東洋経済オンライン
アドフラウドへの対策
不正な広告表示が減れば、広告のコスト効率があがり、CPA(顧客獲得単価)など広告効果指標の改善も期待できます。
そこで、広告主やプラットフォームを提供する事業者はアドフラウドへの対策を行っています。
対策として最も多いのは「広告の掲載先を選別する」というものです。
具体的には、
- 悪質と判断した掲載場所(ブラックリスト)には広告を表示しない
- 悪質ではないと判断した掲載場所(ホワイトリスト)だけに広告を表示する
- 厳選した良質な掲載場所(プライベート・マーケット・プレイス)のみに広告を出稿する
といった形で広告の掲載場所を厳選します。
アドフラウドへの対策が強化されることで広告取引の健全化が
アドフラウドとは、無効なインプレッション(閲覧)やクリックで成約件数や効果を不正に水増しする行為を指します。
アドフラウドの被害は、市場規模が広がるのに伴って増え続けると想定されています。手口も多岐にわたるため、多くの広告主、プラットフォーム提供者も、アドフラウド対策を検討しています。
ユーザー獲得と並行してアドフラウドへの対策が強化されれば、業界全体で広告取引の健全化が進行。広告主も適切なプロモーションができ、ユーザーもよりよい情報をキャッチできるようになるでしょう。