Amazonは、ECモールのなかでも日本トップクラスの売上高・シェアを誇ります。
そのAmazonに商品を出品できるのが、Amazonマーケットプレイスです。
本記事では、
- Amazonマーケットプレイスの特徴
- Amazonマーケットプレイスに出品するメリット・デメリット
- Amazonマーケットプレイスと他ECモールの違い
- AmazonでECを始める3ステップ
などについて解説します。
「Amazonの特徴を知りたい方」や「Amazonマーケットプレイスに出品すべきか検討している方」は、ぜひ最後までご一読ください。
なお、ECサイトの特徴や種類、活用するメリット・デメリットを先に知りたい場合は、下記記事をご参照ください。
目次
Amazonマーケットプレイスの特徴
Amazonマーケットプレイスとは、Amazonで商品を販売できるECプラットフォームのことです。
はじめに、Amazonマーケットプレイスにおける下記2つの特徴を解説します。
- 日本のEC市場でトップクラスの売上高
- Amazonマーケットプレイスは出品方式
特に、出店方式ではなく「出品方式」であることが大きな特徴です。
【特徴1】日本のEC市場でトップクラスの売上高
Amazonは、日本のEC市場での売上高において楽天市場とトップの座を争っています。
米Amazonの年次報告書によると、2022年の日本Amazonの売上高は243.96億ドルでした。
※参考:「米国証券取引委員会」
2022年の平均為替レートである1ドル131.49円を掛けると、日本円で「約3兆2000億円」です。
一方で、楽天の2022年度の国内EC流通総額は「約5兆6000億円」でした。
※参考:「楽天グループ株式会社」
どちらもECサイト以外の売上や流通が含まれているため、一概にどちらが日本のトップかはわかりません。
しかし、日本のEC市場において、Amazonと楽天市場が3位以下を大きく引き離していることは確かな事実です。
【特徴2】Amazonマーケットプレイスは出品方式
日本のEC市場のトップを争っているAmazonと楽天市場ですが、出店・出品の方式が大きく異なります。
「出店方式」である楽天市場は、巨大なWeb上のショッピングモールに出店するイメージです。
一方で、Amazonは出店方式ではなくAmazonマーケットプレイスに「出品」する形態です。
ECモール | 方式 |
---|---|
Amazon | 出品方式 |
楽天市場 | 出店方式 |
Amazonの場合、楽天市場のように出店したお店に訪問してもらって購入されるのではなく、1つの商品ページに色々なショップが出品します。
Amazonマーケットプレイスに出品する際は、ショップ登録が必要です。
「小口出品」と「大口出品」があり、1ヵ月に50点以上販売するのであれば「大口出品」で登録するのがおすすめです。
Amazonマーケットプレイスを利用する3つのメリット
Amazonマーケットプレイスを利用するメリットは、大きく次の3つです。
- 知名度を活かして高い集客力を期待できる
- 発送代行サービスにより物流の手間を軽減できる
- グローバルセリングで海外へも商品を販売できる
高い集客力や物流の手間の少なさ、海外販売など多くのメリットがあります。
【メリット1】知名度を活かして高い集客力を期待できる
Amazonは中国からは撤退しているものの、アメリカやヨーロッパなどの多くの国では、その国のEC市場で1位のシェアを獲得しています。
そして、日本でもAmazonの知名度とシェアはトップクラスです。
Amazonは世界最大規模のECモールであり、高い集客力を期待できます。
そのようななか、Amazon内の検索で出品している商品を上位表示させることができれば、売上アップにつながります。
下記記事では、Amazonで上位表示させる具体的な対策を紹介していますので、ぜひチェックしてみてください。
【メリット2】発送代行サービスにより物流の手間を軽減できる
Amazonは、FBA(Fulfillment By Amazon)という発送代行サービスを提供しています。
FBAを活用すれば、自社で倉庫を借りたり物流スタッフを雇ったりする必要はありません。
Amazonの倉庫に商品を納品することで、顧客の注文後に自動で発送まで対応してくれます。
FBAの対応範囲は、下記の受発注業務すべてです。
- 入荷
- 商品保管
- 注文処理
- 検品
- 配送
- 返品
サイト運営者の視点に立つと、物流の手間が軽減されることでコア業務に注力できます。
【メリット3】グローバルセリングで海外へも商品を販売できる
Amazonグローバルセリングでは、欧米を中心に海外のAmazonにも商品を出品できます。
海外に需要がある日本独自の製品を扱っている事業者様や、越境ECを考えている事業者様などには、特に大きなメリットです。
Amazonマーケットプレイスを利用する3つのデメリット
抜群の集客力と受発注業務の手間を削減できるAmazonマーケットプレイスは、とても魅力的なECプラットフォームです。
しかし、下記のようなデメリットも存在します。
- 他の大手ECモールと比較して企業の特色を出せない
- ライバルとの価格競争になりやすい
- 手数料が発生する
ショップごとに差別化しにくく価格競争になりやすいことが、特に大きなデメリットです。
【デメリット1】他の大手ECモールと比較して企業の特色を出せない
Amazonは出店方式ではなく「出品方式」なので、企業の特色を出せず、差別化が困難です。
出店方式であれば、ショップごとにクーポンを発行したりデザインや文章を工夫したりなどの差別化をおこなえます。
しかし、Amazonマーケットプレイスの出品方式の場合、同じ商品ページの中に複数のショップが出品します。
どの商品ページも同じデザイン・文章になっているため、差別化ができません。
利用者から見たら統一感があってわかりやすいものの、企業視点に立つと企業の特色を出せないデメリットがあります。
【デメリット2】ライバルとの価格競争になりやすい
Amazonマーケットプレイスでは、同じ商品ページに複数のショップが出品しますが、基本的には価格が安いショップから販売されます。
つまり、低価格で出品しているショップから販売される仕組みがあるため、価格競争になりやすいこともデメリットです。
Amazonマーケットプレイスで他社より売上を上げるには、価格競争で他社に勝つことが基本です。
さらに、競合他社も多いため、価格競争が激しくなってしまいます。
【デメリット3】手数料が発生する
Amazonマーケットプレイスに出品すると、下記のような手数料が発生します。
- FBAを利用しない場合:「出品プランごとの料金」+「販売手数料」
- FBAを利用する場合:「出品プランごとの料金」+「販売手数料」+「FBA配送代行手数料」
出品プランごとの料金は、小口出品か大口出品かによって変わります。
小口出品は商品が購入されると1商品あたり100円、大口出品は月額4,900円です。
月の販売数が49点までなら小口出品、50点を超える場合は大口出品のほうが低コストになります。
※引用:Amazon
販売手数料は、商品が販売されるたびに発生します。
商品ジャンルによって大きく異なり、商品価格の8〜45%です。
FBA配送代行手数料は、重量や寸法によって金額が異なります。
※引用:Amazon
たとえば、FBA小型軽量商品プログラムで、寸法が25cm x 18cm x 2.0cm以内かつ重量が250g以下の場合は、1商品当たり193円です。
しかし、自社で倉庫を借りて受発注業務をおこなうよりは、低コストで済むケースも多いです。
【比較】Amazonと他のECモールとの違い
ここで、Amazonと他のECモールとの違いを紹介します。
- 楽天市場との違い
- Yahoo!ショッピングとの違い
- 番外編:自社型ECサイトとの違い
それぞれの特徴を理解して、自社にあったECモールを選択しましょう。
楽天市場との違い
前述したとおり、楽天市場は「出店方式」であることがAmazonとの大きな違いです。
商品や企業ページの自由度が高いため、他社と大きく差別化できます。
また、ユーザーに還元されるポイントが多いのも楽天市場の特徴です。
料金から獲得ポイントを引いて計算すると、Amazon以上におトクに商品を購入できるケースも少なくありません。
一方で、楽天市場に出店する費用は、Amazonマーケットプレイスより高額であることが多いです。
Amazonマーケットプレイス | 楽天市場 |
---|---|
【出品プランごとの料金】
| 【出店料(月額)】
|
【システム利用料】 下記3点で設定されており、売上の2〜7%
| |
【販売手数料】 商品ジャンルで設定されている。商品価格の8〜45%(ほとんどの商品は8〜15%) | 【システムサービス利用料】 楽天ポイント:売上の1% モールにおける取引の安全性・利便性向上のためのシステム利用料:売上の0.1% 楽天スーパーアフィリエイト(設定した場合):複雑なため、公式サイトを参照ください。 |
【R-Messe利用料】 プランごとに、月額3,000〜5,000円 | |
【FBA配送代行手数料】 重量や寸法によってさまざま。 例:FBA小型軽量商品プログラム
| 【楽天ペイ(楽天市場決済)】 平均決済単価と月間決済高により、2.5〜3.5%に設定されている |
【その他コスト】
|
楽天市場に出店する費用は計算方法も複雑ですが、公式サイトでは月額費用シミュレーションができるようになっています。
「Amazon」と「楽天市場」のどちらが自社の販売に向いているか、商品ジャンルやコスト面も考慮しつつ総合的に判断することが大切です。
もちろん、どちらか一方だけでなく両方に出品・出店することもできます。
下記記事では、楽天市場でのECサイト開設がおすすめな4つの理由や開設方法などを紹介していますのでチェックしてみてください。
Yahoo!ショッピングとの違い
Yahoo!ショッピングは、楽天市場と同じく出店型のECモールです。
Amazonや楽天市場より集客力は劣るものの、低コストで済む点が大きな魅力です。
Amazonマーケットプレイス | Yahoo!ショッピング |
---|---|
【出品プランごとの料金】
|
|
【販売手数料】 商品ジャンルで設定されている。商品価格の8〜45%(ほとんどの商品は8〜15%) | 【原資の負担】
|
【アフィリエイト手数料】 アフィリエイトパートナー報酬原資の30% | |
【FBA配送代行手数料】 重量や寸法によってさまざま。 例:FBA小型軽量商品プログラム
| 【ストア決済サービス手数料】 決済方法によって異なる。
|
【その他コスト】
|
Yahoo!ショッピングの公式サイトにも月額費用シミュレーションがありますので、ぜひ試算してみてください。
番外編:自社型ECサイトとの違い
最後に、Amazonマーケットプレイスに出品する場合と自社型ECサイトを構築する場合を比較します。
自社型ECサイトを構築する場合、初期のコストがとても高額なうえ、集客にもコストと時間がかかります。
しかし、集客の安定化とブランディングに成功できれば、その後は低コストで大きな利益を得られる可能性があります。
Amazonマーケットプレイス | 自社型ECサイト | |
---|---|---|
初期費用・コスト | 0から数千円程度 | 数十万円から数千万円 |
集客 | ほぼ不要 | 自社か委託 |
販売手数料 | 8〜45% | 不要 |
受発注業務 | FBA | 自社か委託 |
利益率 | 価格競争になるため低い | 自由にブランディングできるため高くできる |
短期の展望 | 早めに利益が生まれる | 利益が出るまで数ヵ月から数年以上かかる場合もある |
長期の展望 | 薄利多売が続きやすい | SEOやSNSなどで集客が安定しブランディングに成功すれば、最小限の広告費で、多くの利益を得られるようになる |
なお、次の記事では、モール型ECと自社型の違いや自社型ECサイトのメリット・デメリットなどを解説しています。
自社型ECサイトの構築を検討している方は、ぜひチェックしてみてください。
AmazonでECを始める3つのステップ
AmazonでECを始める手順は、大きく次の3ステップです。
- 出品用アカウントを作成する
- プロフィールを設定する
- 商品を登録する
Amazonマーケットプレイスに出品する際の参考にしてください。
【ステップ1】出品用アカウントを作成する
はじめに、自社の出品用アカウントを作成します。
アカウント作成には、次のような書類などが必要です。
【アカウント作成に必要な書類など】
- 行政機関発行の顔写真付きの身分証明書(例:パスポートや運転免許証)
- 過去180日以内に発行された取引明細書(例:ガス・電気・水道料金などの請求書)
- ビジネス用のEメールアドレスまたは既存のAmazonアカウント
- 電話番号
- 有効なクレジットカード
- 銀行口座番号(Amazonから売上金を受け取る口座)
これらの用意が済んだら、専用ページにて出品用アカウントの作成を進めてください。
ビデオ通話が求められることもありますので、その場合はビデオ通話ができるデバイスの用意も必要です。
【ステップ2】プロフィールを設定する
続いて、出品者プロフィールの設定をおこないます。
メールアドレスや電話番号・運営責任者名など、画面に表示されている項目を入力していきましょう。
【ステップ3】商品を登録する
Amazonで商品登録する方法には、「新規出品」と「相乗り出品」の2つがあります。
新規出品は、現在Amazonで販売されていない商品を出品するときのもので、大口出品者であることが前提です。
JANコードの取得と、商品によっては製造元部品番号も必要になります。
相乗り出品は、既にAmazonに登録されている商品ページに出品するときのもので、一般的に同じ商品を出品する際は1つの商品カタログページ内に出品しなければなりません。
商品登録の画面から、商品名やJANコードで検索をかけると対象商品が表示されますので、各項目を入力して出品しましょう。
ECサイト運営時は不正対策も欠かせない
Amazonをはじめ、ECサイトを運営する際は不正対策も欠かせません。
万が一、不正利用が続いてチャージバックが発生すると、売上が取り消されるうえに商品も返ってこず、事業者様にとって大きな被害につながります。
そこでECサイト運営者に必要なのが、顧客と自社を守るための専門的な不正対策です。
たとえば、かっこ株式会社では、導入企業累計110,000サイト越えの共有データで高精度に不正注文を検知できる「O-PLUX」を提供しています。
怪しいと感じた注文にだけ追加認証がおこなわれるため、不正利用しない人の注文画面は通常の見た目と変わりません。
商品の発送前に不正注文を見抜くことができ、チャージバックの発生を防ぐことも可能です。
まとめ:AmazonマーケットプレイスでECを始めよう
Amazonマーケットプレイスの特徴やメリット・デメリット、ECの始め方などを解説しました。
Amazonマーケットプレイスを利用するメリットは、主に次の3つです。
- 知名度を活かして高い集客力を期待できる
- 発送代行サービスにより物流の手間を軽減できる
- グローバルセリングで海外へも商品を販売できる
一方で、下記のようなデメリットもあります。
- 他の大手ECモールと比較して企業の特色を出せない
- ライバルとの価格競争になりやすい
- 手数料が発生する
Amazonは集客力が高く、独自の発送代行サービスにより物流の手間を軽減できる点が大きな魅力です。
ただし、ショップごとに差別化しにくいため、価格競争になりやすい点に注意しましょう。
メリット・デメリットを天秤にかけたうえで、Amazonマーケットプレイスへの出店を検討してみてください。
なお、ECサイトを運営する際は、クレジットカードの不正利用対策が欠かせません。
カード不正の被害に遭うと、自社に非がないケースでも顧客の信用を失い、売上を圧迫してしまうリスクがあります。
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