様々な分野で活用されているAIは、企業や店舗の不正検知にも導入されています。クレジットカード決済の不正取引や企業の不正会計などを未然に防ぐ効果を期待できます。不正検知ソリューションの開発が進んでおり、セキュリティ意識が高まっています。
今回は、AIを活用した不正検知について、導入メリットや注意点、具体的なソリューションなどをご紹介します。ソリューション導入の検討にぜひ役立ててみてくださいね。
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不正検知にAIを導入する企業が増えている
インターネットが生活やビジネスに欠かせないものとなり、企業や店舗にはより重要視すべきものとなっています。インターネット取引の比率が高まっているため、ネット上でやり取りされるデータが多くなり、不正利用や不正取引が行われるリスクにさらされる機会が増えました。
不正を取り締まるモニタリング部門に人員を割く必要が出てきます。コストや管理の労力だけでなく、不正検知の精度にも不安が残るでしょう。そこで、不正検知をシステム導入で効率化し、確実に検知するためにAIが注目されました。特にクレジットカード業界は、不正検知の必要性が高く、AIによる不正検知の活躍が求められています。
クレジットカード会社をはじめとした企業では、AIの導入が進んでいます。これからさらにセキュリティ意識が高まることによって、AIによる不正検知は広がっていくと予想することができます。
不正検知にAIを活用する企業が増加に関しての記事はこちらもご参照ください。
不正検知にAIを導入するメリット
不正検知は、専門スタッフを配置して行うことも可能です。しかし、精度や対応スピードなどでは、AIの方が優れている部分が多くあります。不正検知にAIを導入することでどのようなメリットがあるのか、3つのメリットを見ていきましょう。
インターネット取引の不正に素早く対応できる
インターネットを活用したデジタル取引が浸透しており、人による監視では追いきれなくなってきています。デジタル取引は、いつでもどこでもできるのが特徴で、365日24時間行うことができ、どのタイミングで不正が行われるかはわかりません。そのため、常に監視をする必要があり、目を光らせなければならず、監視対象も膨大です。
不正検知体制にAIを活用したシステムを導入すると、あらかじめ設定した基準やデータに基づいて、インターネット取引の不正を分析・判別することができます。リスクの程度やスコアリングが示されるので、リスクに応じて即座にブロックしたり、危険性が高いブラックリストに登録したりして、迅速で的確な対応ができるようになります。
また、あらかじめ不正取引を防止するためにもAIが活躍します。メールアドレスやカード情報などを入力するとリスクが算出されるシステムもあり、未然に不正ユーザーを発見することができます。ECショップの不正に伴うチャージバックによる損失を減らすこともでき、組織へのダメージを最小限におさえられるでしょう。
AIの自動学習によって最新手法に対応できる可能性がある
不正検知システムの種類は、不正を検知するモデルをどのように設定するかで分かれます。
・ルール型:ルールを追加・更新して不正の基準を設定する
・スコアリング型:ルールに点数化の概念を加えて不正を判定する
・統計型:過去の不正データを活用して不正を判別する
これらのモデルには、それぞれメリットがあるものの、デメリットも目立ちます。ルール型やスコアリング型は、人が考えるルールに基づいているので多様化する手口には後手を踏む可能性が高いです。また、できるだけ多く不正を発見しようとルールを設定しすぎるとかえって精度が落ちることもあります。統計型はある程度のデータが必要なことと、複雑な事象に弱いことなどがデメリットです。
AIを活用した不正検知モデルの場合は、機械学習によって顧客特性などから不正を判別できるので、人によるルール設定よりも対応範囲が広がります。最新手法が現れてもAIが学習し、対応できる可能性があります。不正の手口は日々進化しているので、これからの不正に対応するためにはAIが必要になってくるでしょう。
不正検知業務を効率化できる
不正検知業務を人によって行う場合は、モニタリングスタッフを常時配置する必要があります。従来のモデルでは、不正を検知しきれないこともあり、スタッフの負担が大きくなるでしょう。
AIによる不正検知では、発見できる不正が多いだけでなく、自ら学習し精度や対応力が増していきます。AIが発見した不正を人がチェックし対応するという仕組みをつくることができれば、監視に割いていたコストや時間を削減できるでしょう。
不正検知にAIを導入する際に気を付けたいポイント
AIは先進的な技術であり、導入することで問題が解決すると思いがちです。ただ、AIはあくまで技術であり、必ず不正を検知できるというわけではありません。運用するための準備やルールの決め方にも注意が必要です。AIを導入する上で気を付けたいポイントをしっかりおさえていきましょう。
AIは絶対的なものではない
AIを導入することは、不正をすべて検知できるということではありません。AIにも検知できない不正はあり、絶対的ではないことを理解しておきましょう。
AIを過信してしまうと、不正を見つけられなかったときに責任の所在が不明になったり、セキュリティ体制の改善を進めたりできなくなってしまいます。不正検知においてAIは心強い技術ですが、精度の向上や効率化のためのツールであり、人による監視も怠らないようにしましょう。
学習データが必要になる
AIを活用した不正検知モデルを作成するためには、いくつかのプロセスを経る必要があります。データ準備、モデル生成、モデル解釈といったプロセスを経て、初めて実用に移すことができます。データ準備の段階で、AIに学習させるデータを準備しなくてはいけません。データが不十分であれば、検知できない不正が出てくる可能性があります。
学習データの準備は重要であるとともに難しいプロセスです。何が必要なデータかを分析した上で抽出する必要があり、自ら行うにはスキルが求められ、時間や手間もかかります。
検知モデルの中身がわからない
AIを独自に思考して不正を分析・判定してくれます。ただ、どのように思考しているかを把握することは難しく、ブラックボックス化するという問題があります。思考のプロセスを分析して、不正検知体制の整備に活かすといったことができません。
不正を検知できなかったときのプロセスがわからないことも、運用に支障をきたす可能性があります。
既に開発されている不正検知AIソリューション
AIを活用した不正検知ソリューションが開発されており、導入する企業も増えています。不正検知という目的は同じものの、検知の精度や機能性などに違いがあります。4つの不正検知ソリューションの概要を解説していきます。
【NEC】AI不正検知
NECでは、AIを活用した金融取引の不正検知を行うシステムを開発しています。金融取引の不正パターンをシステムに学習させることによって、リスクをスコアリングできます。これまでは2段階のチェックをしていたものが、システムだけでリスクを判定できるので、素早い不正の発見やモニタリングスタッフの負担減につながります。
リスクの程度がわかりやすいように、不正を判断した理由がコメントでも表示されます。スコアが高くても判断しにくい事例において、コメントがより正確な判断に導いてくれます。
提供会社 | NEC |
システム名 | AI不正検知 |
主な機能 | ・AIを活用した審査業務・不公正取引の検知・分析結果の明確化 |
サポート | – |
商品ページ | https://jpn.nec.com/fintech/ai/index.html |
【あずさ監査法人】不正リスク検知SUNモデル
あずさ監査法人では、AI・機械学習を活用した不正リスク検知SUNモデルを法人内で使用しています。検知モデルに対して、不正会計を識別するデータを機械学習させ、取り込んだ財務データ・指標に応じた不正リスクのスコアリングを行います。不正会計のデータの少なさを克服するために、不正会計公表情報を活用し、正確な検知を実現しました。
また、スコアリングの経年変動やランキング、同業他社比較などの機能も備わっています。公認会計士などの専門家の判断が組み合わさることによって、より正確な不正検知ができるモデルとなっています。
提供会社 | あずさ監査法人 |
システム名 | Siftデジタルトラスト&セーフティプラットフォーム |
主な機能 | ・不正リスクのスコアリング・データ取り込み・学習 |
サポート | – |
商品ページ | https://home.kpmg/jp/ja/home/insights/2019/11/balanced-random-forest-20191115.html |
【BrainPad】+AI
BrainPadの+AIは、人工知能と機械学習を活用した異常検知システムです。金融取引に対しては、機械学習によって不正の早期発見や精度向上を実現しています。ルール設定だけでは対応できない不正もしっかりと検知可能です。
インターネット取引などの不正を検知するだけでなく、機器の故障検知にも導入できます。機器・部品の故障リスクを予測できるので、故障する前に対処できるのが特徴です。
提供会社 | BrainPad |
システム名 | +AI |
主な機能 | ・金融取引の不正検知・機器の故障予知 |
サポート | – |
商品ページ | https://ai.brainpad.co.jp/service/scene05/ |
【SAS】Detection and Investigation for Banking
SASのDetection and Investigation for Bankingは独自の分析手法やルール、予測モデルなどの技術を駆使して、精度の高い不正検知を実現しています。商品などを変えて行われるリスクに対応するために、部門・部署で横断化できるよう見える化できる機能が搭載されています。
データ管理やアラート管理など管理機能も充実しているので、運用のしやすさも魅力です。不正検知業務の負担軽減や効率化を実現し、無駄のない組織をつくることができるでしょう。
提供会社 | SAS |
システム名 | Detection and Investigation for Banking |
主な機能 | ・複数の技術による不正検知・不正リスクを総合的にサポート・データ管理・アラート・検索・ネットワーク分析 |
サポート | – |
商品ページ | https://www.sas.com/ja_jp/software/detection-investigation-for-banking.html |
まとめ
企業や店舗では、AIを活用した不正検知ソリューションを導入する事例が増えています。AIで不正検知を自動化することによって、インターネット取引の不正検知やモニタリング業務の効率化などのメリットがあります。
一方で、AIは絶対的ではないので、過剰なルール設定や人が考えるルールの限界などには注意が必要です。導入を検討している場合は、今回紹介したソリューションを参考にしてみましょう。
また、こちらの記事ではAIを活用した不正検知が広がるメリットについて解説しています。ぜひ併せてご覧ください。
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AI導入のメリットとして「不正検知業務を効率化できる」「不正に素早く対応できる」とお伝えしましたが、こういった不正検知システムの導入も、効果的です。気になる方はぜひこちらもご覧ください。
参考:不正検知のソリューションについて以下の記事に仕組み・メリット・デメリットをまとめてあるのでよろしければご覧ください。