後払いシステムとは、事業者様が自社で後払い決済事業を運用していくために必要な仕組みのことです。
自社で後払いシステムを開発すると、運用コストを削減できる・すべての後払い利用データを活用できるなどのメリットがあります。
しかし、自社開発ならではのコスト負担も発生するため、開発費用に関する正しい知識が欠かせません。
そこで本記事では、下記の内容について解説します。
- 後払いシステム開発費用の相場
- 一般的なシステム開発費用の内訳
- 後払いシステムの開発費用を抑えるポイント
なお、かっこ株式会社では、後払いシステム開発の初期投資リスクを最小限に抑えられる「後払い決済導入パッケージ」を提供しています。
自社での後払いシステム構築に関心がある方、あるいは検討中の方は、下記からお気軽にサービス資料をダウンロードしてください。
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目次
後払いシステム開発費用の相場
後払いシステムをゼロから開発した場合の費用相場は、1億円以上にのぼります。
この数字は、後払い決済事業の構築支援に長年携わってきた当社(かっこ株式会社)の調査によるものです。
当社では、後払い決済事業の立ち上げやシステム構築・事業運用上のコンサルティングなど、後払い決済を提供したい事業者様向けに支援をおこなってきました。
開発費用が高額になる理由の一つとして、ソフトウェアやネットワークなどの要素が組み合わされたシステムの構築が必要となることが挙げられます。
ただし、後払いシステム開発費用は多くの要因が関係するため、一概に同じ値段にはならないことも事実です。
ちなみに、後払いシステム開発には「お金」もかかりますが、事業計画・運用構築準備、および事業を支えるシステム開発のために1年以上の「時間」が必要になることも忘れてはなりません。
開発費用を抑えるポイントをすぐに知りたい方は、「後払いシステムの開発費用を抑える4つのポイント」をご覧ください。
一般的なシステム開発費用の内訳
システム開発費といっても、その内訳は様々な要素が組み合わさって構成されています。
たとえば、サーバー維持費やソフトウェアのライセンス料などの諸経費に加えて、大きな割合を占めるのが、開発に携わるメンバーの人件費です。
ここでは、「一般的なシステム開発費用」の内訳を工程ごとに紹介しますので、自社でシステム開発をおこなうとしたら、何が必要なのか?などのシミュレーションにご活用ください。
※下記は、システム開発費用全体を200万円と仮定した場合の内訳と費用相場の割合を表にしたものです。
工程 | 概要 | 費用相場 |
---|---|---|
要件定義 | 「システムがどのような機能を満たしているべきか」を定義づけるために必要な費用 | 5〜10%(10万円〜20万円) |
設計 | アプリやサーバーなど、開発に必要な土台を作るために必要な費用 | 10〜20%(20万円〜40万円) |
デザイン | UI(※)のデザインや管理画面設定に必要な費用 | 約5%(10万円) |
スケジュール管理 | 最適なスケジュール管理と納期管理に必要な費用 | 約3%(6万円) |
システム開発 | 設計書に基づき、システム上へプログラミングを施すために必要な費用 | 50〜60%(100万円〜120万円) |
テスト | 試運転に必要な費用 | 約5%(10万円) |
導入・サポート | 初期設定やマニュアル作成に必要な費用 | 1〜3%(2万円〜6万円) |
運用・保守 | トラブル対応などアフターサービスに必要な費用 | 約5%(10万円) |
(※)UI:ユーザーがシステムやアプリとやり取りするための「触れる部分」や「見る部分」のこと
システム開発の3つのタイプ
実はシステム開発には、下記3つのタイプがあります。
- パッケージタイプ
- スクラッチタイプ
- SaaSタイプ
結論、後払い決済には「パッケージタイプ」や「SaaSタイプ」がおすすめです。
それぞれの特徴やシステム利用例などをまとめましたので、自社に合うタイプの選定にご活用ください。
【タイプ1】パッケージタイプ
パッケージタイプは、標準的な機能が装備されているタイプです。型が決まっているため短期間で開発でき、導入・運用までの期間を早めることができます。
特徴 | ・型が決まっているソフトウェア ・標準的な機能が組み込まれている |
---|---|
カスタマイズ度 | 限定されている |
費用 | ・サーバー代 ・ライセンス利用料 など |
システム利用例 | ・会計システム ・生産管理 など |
ただし、パッケージタイプはカスタマイズの幅が限定されている点がデメリットです。
もし希望する機能がない場合、追加コストを支払って機能の追加が必要になることも考えられます。
【タイプ2】スクラッチタイプ
スクラッチタイプは、自社の希望に沿ってオリジナルのシステムを開発できるタイプです。高度なカスタマイズが可能なため、きめ細やかなニーズに対応できます。
特徴 | ・企業の特定のニーズや要件にあわせて、ゼロからソフトウェアを開発する |
---|---|
カスタマイズ度 | 高度なカスタマイズが可能 |
費用 | ・サーバー代 ・初期開発費用(高額になりがち) ・保守料 など |
システム利用例 | 特定の業界や業務に特化したシステムが必要な場合 |
一方で、スクラッチタイプは何もない状態からシステム開発するので、費用が高額になりがちです。
【タイプ3】SaaSタイプ
SaaSタイプはカスタマイズの幅は限定されるものの、クラウド上で提供されるためサーバー代が不必要などの特徴があります。
加えて、インストール不要ですぐに導入でき、インターネット環境さえあれば場所を問わずアクセスできます。
特徴 | ・クラウド上で提供されるソフトウェア ・ブラウザを通じてサービスを利用するため、ローカルなインストールが不要 |
---|---|
カスタマイズ度 | 限定されている |
費用 | ・初期費用(低め) ・月額・年間のサブスクリプション料金 (利用料、メンテナンス、アップデートなど含む) |
システム利用例 | ・勤怠管理 ・経費精算など |
ただし、SaaSタイプは提供元に依存するため、サービス自体が終了すると使えなくなる点がデメリットです。
したがって、SaaSタイプを選ぶ際は「継続してサービスを提供してもらえる会社なのか」を見極めることが大切です。
ここまで、3つに分かれるタイプの特徴を紹介しました。
冒頭でお伝えしたように、後払いシステムを構築するなら、パッケージタイプやSaaSタイプがおすすめです。
なぜなら、パッケージタイプやSaaSタイプは、勤怠管理なら勤怠管理の一番スタンダードな部分に合わせて作られているため、パッケージの内容に沿って業務を進めていけばスムーズにいく場合がほとんどだからです。
要するに、非戦略的な定型業務はスタンダードを守った方が上手くいくと言えます。
詳しくは、【ポイント4】パッケージタイプやSaaSタイプを利用するでお伝えします。
後払いシステムの開発費用を抑える4つのポイント
先述したとおり、ソフトウェア料金や人件費など多くの要素が絡む後払いシステムの開発費用は、どうしても高額になってしまいがちです。
そこで本章では、後払いシステムの開発費用を抑える4つのポイントを紹介します。
- システムの目的・要件を明確にする
- カスタマイズは最小限にする
- 補助金を活用する
- パッケージタイプやSaaSタイプを利用する
【ポイント1】システムの目的・要件を明確にする
まず、システムを構築する目的や要件を明確にすることです。ここでいう要件とは、主に下記のようなことを指します。
- どのようなシステムを開発すべきか
- システムがどのような役割を果たすべきか
- システムが備えるべき機能
- 性能や容量、セキュリティなど機能以外に満たすべき事項や制約
前提をはっきりしておかなければ、後から「もっとこうすればよかった」と要望が出て、追加修正をしているうちに開発費用が膨らむパターンも少なくありません。
そのため、システム開発において絶対に譲れないポイントも抑えておくことが重要です。
【ポイント2】カスタマイズは最小限にする
カスタマイズを最小限にすることも費用を抑えるポイントです。当然ですが、システムが多機能になればなるほど、開発期間や工数がかかり、費用は膨らんでしまいます。
それを防ぐには、まずは最小限からスタートし、「ユーザーの評価を見てから再度機能の追加を検討する」手法がおすすめです。
【ポイント3】補助金を活用する
後払いシステムの費用を抑えるには、補助金を活用する方法もあります。システム開発に利用できる補助金制度は、主に下記の4つです。
それぞれ条件や応募期間が異なるため、自社に適した制度を活用して生産性向上にお役立てください。
なお、このような補助金制度の存在は、経済産業省が「中小企業生産性革命推進事業」を実施していることが背景にあります。
【中小企業生産性革命推進事業とは】中小企業・小規模事業者の制度変更への対応や生産性向上の取組状況に応じて、設備投資、IT導入、販路開拓、円滑な事業承継・引継ぎ等の支援を一体的かつ機動的に実施し、複数年にわたって中小企業・小規模事業者の生産性向上を継続的に支援します。
ただし、補助金の利用には下記のような注意点も存在するため、事前に情報を整理してスムーズな利用を心がけましょう。
【補助金利用の際の注意点】
- 各制度によって応募条件や応募期間などが毎年異なる
- 補助金を受け取った後も、進捗報告や成果報告の義務がある場合がある
- 異なる補助金制度で同じ経費に対して補助金を受けることは、一般的に禁止されている
【ポイント4】パッケージタイプやSaaSタイプを利用する
システム開発費用を大きく抑えられるポイントとして、既に型が決まっている「パッケージタイプ」やクラウド型でサーバー代が不要な「SaaSタイプ」を利用する方法がおすすめです。
特に後払いシステムのようなバックオフィス関連は、一般的な内容に合わせて構築されており、型が決まっているほうがスムーズにいきやすいというメリットがあります。
カスタマイズの幅は狭くなりますが、定型業務の場合「カスタマイズしないほうが上手くいく」ケースがほとんどです。
とはいえ、事業内容によっては戦略的に「ここだけはオリジナルで」という点が出てくるケースもあるでしょう。
その場合、「外せないポイントだけを変更」すれば、費用が必要以上に膨らむことはありません。
これらの条件にぴったりな、おすすめのサービスを次の章で詳しく紹介します。
後払いシステムの構築なら「SaaS型BNPLシステム」がおすすめ
前章でお伝えしたとおり、後払いシステムを自社で構築するなら「SaaSタイプ」がおすすめです。
ここでは、かっこ株式会社が提供する「SaaS型BNPLシステム」を例に紹介します。
「SaaS型BNPLシステム」は、下記のようなEC事業者様にぴったりです。
- 自社で後払いをやってみたいけど開発コストやランニングコストを抑えたい
- 後払いの事業化にともなう煩雑な業務の負担を減らしたい
ゼロベースで後払いシステムを構築すると、システム開発費が1億円を超えるほど高額になってしまいます。
一方で「SaaS型BNPLシステム」なら、後払い決済事業の構築支援で培ったノウハウをもとに本質的な機能を中心にパッケージ化しているため、最小限の費用で後払い決済システムの実現が可能です。
さらに、後払いできる環境を構築した後の課題になりやすい、与信チェックや入金管理・請求・督促などの自動化にも貢献します。
当社が10年以上後払い決済事業の支援をしてきたノウハウが集結しており、本来なら専門知識や膨大な時間がかかる工程を必要としません。
これにより、期間とコストを大幅に縮小したところからのスタートが可能になります。次の章で、本サービスの特徴をさらに詳しく解説します。
「SaaS型BNPLシステム」とは
既にお伝えしたように、かっこ株式会社が提供する「SaaS型BNPLシステム」とは、後払い決済の事業化に貢献するサービスです。
SaaS型BNPLシステムがおすすめの理由としては、次のようなものが挙げられます。
【SaaS型BNPLシステムがおすすめの理由】
- ゼロベースで構築すると莫大にかかる初期費用を最小限に抑えられる
- 後払いできる環境を構築した後の課題になりやすい、与信チェックや入金管理・請求・督促などを自動化できる
- 未回収リスク対策のための「不正注文検知システム」の標準実装はもとより、運用開始後の様々な相談ごとにも対応が可能
- 事業者様の要望に応じて、「SaaS型BNPLシステム」に対するカスマイズ開発を承ることも可能
- 後払い事業の経験が豊富なコンサルタントによる支援
「SaaS型BNPLシステム」は、後払い決済に必要な機能がまるっとパッケージ化されており、与信や入金管理・請求督促などの自動化も可能です。
それにより、後払い決済環境の構築・運用にともなう業務負担を大幅に軽減できます。
また、事業者様の要望に応じて「SaaS型BNPLシステム」に対するカスタマイズ開発を承ることも可能で、より本質的な機能実装となるような開発を提案します。
▲SaaS型BNPLシステムを導入した後の連携イメージ
「SaaS型BNPLシステム」の導入で期待できる3つの効果
「SaaS型BNPLシステム」を導入すると、事業者様は下記のような効果を期待できます。
- 初期費用・運用コストを最小限に抑えられる
- 事業収益性の最大化を期待できる
- 最適なマーケティング施策を立てられる
【効果1】初期費用・運用コストを最小限に抑えられる
本サービスは、後払いに必要な機能を一つにパッケージ化して提供しています。そのメリットは、ゼロからシステムを組み上げる必要がなく、初期費用の大幅な縮小が期待できることです。
また、運用面においても、与信チェックや請求書管理などが自動化されることにより事業者様の負担が軽減します。
繰り返しになりますが、ゼロから後払い決済システムを構築した場合の開発費用は、1億円以上かかることがわかっています。
初期費用や運用コストで削減できた分を、新規加盟店獲得やプロモーションなど売上拡大のための施策に注力すれば、
- 企業の成長
- 収益の向上
- 市場での競争力の強化
など、多岐にわたるメリットを享受することが可能です。
【効果2】事業収益性の最大化を期待できる
後払い決済でリスクとなるのが、「後払いの未払い」や「いたずら発注」です。事業収益の最大化を実現するには、これらの未回収リスクの削減を避けては通れません。
この点、「SaaS型BNPLシステム」は、EC向け不正検知で4年連続実績No.1(※)の「O-PLUX」(不正注文検知サービス)を標準実装しています。
(※)2024年3月末日時点。株式会社東京商工リサーチ「日本国内のECサイトにおける有償の不正検知サービス導入サイト件数調査」による
「O-PLUX」は、当社が導入累計実績11万以上のECサイトを審査するなかで蓄積してきた不正対策のノウハウが詰まったサービスです。
そのため、「O-PLUX」を後払い決済の審査エンジンとして活用することで、未回収リスクを最小限に抑えることが可能になります。
▲O-PLUX審査の仕組み
さらに、決済事業の運用に必要な機能が絞り込まれていることから、審査以外の運用体制維持コストも抑制することができ、事業収益性の最大化に貢献します。
なお、社内にノウハウや審査体制がない場合でも、「O-PLUX」には条件の作成や追加・様々なパターンの不正取引に対する審査などの運用についてのサポートがあり、安心です。
「O-PLUX」について詳しく解説した資料を無料で配布しています。下記のバナーをクリックのうえ、不正対策の参考にご活用ください。
1万円で2週間のトライアル利用も受付中!
O-PLUXのトライアルはこちら
【効果3】最適なマーケティング施策を立てられる
自社で後払い決済を運用せずに決済代行サービスを利用する場合、支払履歴が追えないため顧客状況を正確に把握することができません。
一方で、「SaaS型BNPLシステム」でシステム構築したあとは、後払い決済に関するすべてのデータがそのまま確認できます。
すると、詳細な後払い利用データ(購入後の支払い状況の情報など)をもとにした分析ができるようになり、アプローチ方法やサービスの訴求内容・商品開発など、データを活かした最適なマーケティング戦略を立てることが可能です。
さらに、後払い決済事業の構築や運営にあたっては、かっこ株式会社の経験豊富なコンサルタントの専任サポートもあるため、事業者様の後払い決済事業が、より確実かつ効果的に進められます。
開発費用を抑えて自社で後払いシステムを運用したい方は、下記のバナーをクリックのうえ資料をご覧ください。
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まとめ
近年、EC市場規模の拡大や決済方法の多様化などの影響により、後払い決済市場は年々成長しています。
事業者様が後払い決済環境を提供する際は、後払い決済代行サービスを利用する方法以外に、自社で後払いシステムを開発する方法もあります。
後払いシステムを自社開発すると、自社に適したシステムで運用できる点が最大のメリットです。
ただし、後払いシステムをゼロから構築するには、多額の費用が必要となるため、少しでも費用を抑えるために下記4つのポイントをチェックしましょう。
- システムの目的・要件を明確にする
- カスタマイズは最小限にする
- 補助金を活用する
- パッケージタイプやSaaSタイプを利用する
また、自社ですべてをおこなうには、後払い決済の知識やシステム構築の知識など多方面での専門的な知識が必要となり、お金だけでなく莫大な時間もかかることは避けられません。
下記の記事では、自社でBNPL(後払い決済)を開発する際のメリットや注意点を解説しています。
自社で開発すべきか検討したい方は、併せてご覧ください。