「中国の『Alipay(アリペイ)』という決済方法があるらしいけどどういったものかよくわからない」
「『Alipay(アリペイ)』を導入したいけど、メリットがあるか知りたい」
といった事業者の方はいらっしゃいませんか?
「Alipay(アリペイ)」とは中国のモバイル(電子)決済サービスです。
中国人の爆買いブームにより、日本でもコンビニやドラッグストアでみかけるようになりましたが、私たち日本人には馴染みの薄いもので詳しく知らない方が多いでしょう。
日本でも複数の電子決済サービスがあるように中国にも複数の電子決済サービスがあり、中でも「Alipay(アリペイ)」は12億人以上の利用者数を誇り、世界最大級のキャッシュレス決済サービスといえます。
この記事では以下の内容を中心にお伝えします。
- 「Alipay(アリペイ)」の特徴
- 「Alipay(アリペイ)」は日本でも使えるのか
- 「Alipay(アリペイ)」の導入方法
ぜひ最後までご一読ください。
目次
Alipay(アリペイ)とは
「Alipay(アリペイ)」とは中国のモバイル(電子)決済サービスのことで、アリババという中国最大のショッピングサイトを運営する企業が開発・提供しています。
「Alipay(アリペイ)」が普及した背景に、このアリババを運営するアリババグループが設立したCtoC型の(日本でいうメルカリ、ラクマのようなフリマサイト)ショッピングサイト「淘宝网(タオバオ)」の決済手段として使われていたことがあります。
※参考:「淘宝网(タオバオ)」
ちなみに、「Alipay(アリペイ)」を中国語で表すと「支付宝(ジーフーバオ)」といい、今では「淘宝网(タオバオ)」だけでなく、他のECサイトや実際の店舗などありとあらゆる場所で導入・利用されています。
中国で一般的に最も利用されている電子決済は、「Alipay(アリペイ)」「WeChatPay(ウィーチャットペイ)」「UnionPay(ユニオンペイ)」があり、これらは中国三大決済といわれています。
中でも「Alipay(アリペイ)」は、2004年にサービスを開始してから中国国内の電子決済サービスのシェア約54%を占めており、中国都心部では現金を持ち歩かない生活が当たり前になっています。
中国でAlipay(アリペイ)が1番使われている理由
電子決済の中でも「Alipay(アリペイ)」が中国で1番使われているのには理由があります。
近年、中国では「電子(モバイル)決済が安全で便利」といわれていて普及しましたが、特に「アリペイ」は、
- 日常生活に関するほぼ全てのことに使える
- 手数料が無料
ということをいち早く可能にしたため中国国内のシェア率を高めました。
日常生活に関するほぼ全てのことに使える
中国では特に都市部で日常の買い物から家賃の支払いまで、現金を目にすることはほとんどありません。
多くの人が日常生活に関するものをスマホ(電子決済サービス)で決済します。
では、他の電子決済と「アリペイ」で何が違うのかというと金融サービスに特化していることです。
ECでの決済の他、支払いや知人への送金、保険、少額ローン、投資などの機能があり、日常生活に関するほぼ全てのことが賄える「アリペイ」が国民の電子財布として大活躍しているのです。
基本的に手数料が無料
「Alipay(アリペイ)」の手数料は、消費者が会計時にかかる手数料はどこで利用しても基本的に無料です。
また、「Alipay(アリペイ)」はQRコードによる電子決済が主になっています。
そのため、会計が早く済むという利点があります。
但し、公的機関からは銀行と同じように手数料を取っており、光熱費などの公共料金や税金、交通違反の罰金などのような公共料金については受け取り機関から手数料を徴収しています。
そもそも電子決済というものについてや、「アリペイ」以外の電子決済について詳しく知りたい方は以下のページを参考にしてください。
中国はスマホ決済が決済手段の主流である
「Alipay(アリペイ)」が中国だけでなく、日本や他の国でも話題になっているのは利用率が高いことです。
日本では中小の小売店などにはまだ中々浸透しないスマホ決済ですが、中国はスマホ決済が普段からの決済手段の主流であり、その中でシェアを半分以上取っているのが「アリペイ」なので自然と話題になり、「聞いたことあるな」という人が多いのです。
中国で多くの人がスマホ決済を使っている理由は以下の4つです。
- QRコード決済技術の普及
- スマートフォンの普及
- 中国政府の支援
- 信頼性の向上
このような理由が重なった結果、中国ではスマホ決済が決済手段の主流となっています。
Alipay(アリペイ)は日本でも利用できるの?
結論、「Alipay(アリペイ)」は導入している店舗であれば、日本国内・日本人でも利用可能です。
もちろん、日本人が中国で利用することも可能です。
「Alipay(アリペイ)」は、主に中国で利用される決済サービスですが、日本を含め海外でも利用することができます。
日本人が「Alipay(アリペイ)」を利用する場合、アカウント登録や設定については、スマートフォンアプリやウェブサイトなどから簡単にできます。
アカウント登録には、中国の銀行口座が必要になることがありますが、日本で使っているクレジットカードを登録すれば中国の銀行口座は必要ありません。
Alipay(アリペイ)が使える日本のお店ってあるの?
「Alipay(アリペイ)」が使える日本の主なお店は、以下のようなところがあります。
- ドン・キホーテ
- 松屋
- サーティワンアイスクリーム
- キャセイパシフィック航空
- ロイヤルホスト
- ニトリ
- カメラのキタムラ
- 三菱地所レジデンス
- 鎌倉花火 など
この他にも、中国人観光客向けに「Alipay(アリペイ)」が利用可能なお店や施設は増加している傾向にあります。
さらに「Alipay(アリペイ)」は「PayPay」と連携して、日本で決済できる加盟店を増やしています。
利用可能なお店や施設は、今後も増えていく可能性があります。
Alipay(アリペイ)の使い方
「Alipay(アリペイ)」決済の仕組みを解説します。
- 消費者提示型
- 店舗提示型
- オンライン決済
「Alipay(アリペイ)」は、店頭でのオフライン決済と、ECサイト等でのオンライン決済の両方に対応しています。
消費者提示型
「消費者提示型」では、消費者が「Alipay(アリペイ)」アプリで生成したバーコードを店舗側が読み取り、支払いを行います。
バーコードは、「Alipay(アリペイ)」アプリ内の「支払い」メニューから生成することができます。
店舗提示型
支払いをする際に、店舗側が提示するQRコードをAlipayアプリで読み取り、支払いを行います。
QRコードは、店舗側が表示するものや、商品に貼られたもの、紙やカードに印刷されたものなど、さまざまな形で提供されます。
オンライン決済
ECサイト等で「Alipay(アリペイ)」決済を行う場合、ECサイトから自動的にAlipayの決済ページに遷移する場合と、スマートフォンやタブレットにダウンロードした「Alipay(アリペイ)」アプリを使用し決済する方法の2つがあります。
日本でAlipay(アリペイ)を導入するメリット3つと導入すべき理由5つ
「Alipay(アリペイ)」の導入を検討している事業者様も多いと思いますが、果たして日本のお店がアリペイを導入する必要性はあるのでしょうか?
ここでは「Alipay(アリペイ)」導入のメリットとその理由について解説します。
- 【メリット1】中国人消費者のインバウンド消費が見込める
- 【メリット2】複数のスマホ決済を導入すれば、日本人の集客もアップする
- 【メリット3】スムーズにキャッシュレス決済できる
- 【理由1】コロナ前は訪日外国人の中でも中国人顧客が約3割を占めていた
- 【理由2】越境ECの市場規模は中国人消費者がトップである
- 【理由3】中国人消費者に最も使われているアプリである
- 【理由4】中国で使用されていないところはない位普及している
- 【理由5】Alipay(アリペイ)ユーザーは今後も拡大が期待できる
上記のようなことから「Alipay(アリペイ)」の導入は前向きに考えてよいと言えます。
【メリット1】中国人消費者のインバウンド消費が見込める
訪日外国人の中でも中国人はキャッシュレス文化が進んでいるため、「Alipay(アリペイ)」の導入は非常にニーズが高いといえます。
特に中国人はよく日本で買い物をしに訪れてきます。
「Alipay(アリペイ)」を導入すれば中国人消費者のインバウンド消費がより多く見込めるでしょう。
インバウンド向けのマーケティングについては以下から資料がダウンロードできますので、ぜひ参考にしてください!
【売上UPにつながる】訪日インバウンドマーケティングの資料DLはこちら
【メリット2】複数のスマホ決済を導入すれば、日本人の集客もアップする
事業者が「Alipay(アリペイ)」を含め、複数のスマホ決済を導入すると以下の利便性から日本人の集客がアップするというメリットが生まれます。
- 顧客の選択肢が増える
- 店舗の柔軟性が増す
- キャンペーンやポイント還元の選択肢が増える
- リスク分散になる
ただし、複数の決済サービスを導入する場合には、管理や手数料などのコストが増加することがあるため、注意が必要です。
顧客の選択肢が増える
複数のスマホ決済を導入することで、顧客が自分にとって使いやすい決済方法を選択することができます。
顧客が自分に合った決済方法を選ぶことで、より快適な買い物体験を得ることができ、顧客満足度が向上します。
店舗の柔軟性が増す
複数のスマホ決済を導入することで、顧客の要望に柔軟に対応できるようになります。
例えば、顧客が自分が持っているスマホ決済のみを利用したいという場合にも対応できるため、顧客のニーズに応えることができます。
キャンペーンやポイント還元の選択肢が増える
複数のスマホ決済を導入することで、各決済サービスのキャンペーンやポイント還元などの特典を活用することができます。
顧客によって利用するスマホ決済が異なる場合でも、それぞれの決済サービスで実施されるキャンペーンやポイント還元に参加できるため、より多くの顧客に対して魅力的な特典を提供することができます。
リスク分散になる
複数のスマホ決済を導入することで、一方の決済サービスに問題が発生した場合でも、他の決済サービスで支払いを受けることができます。
これにより、リスクを分散することができ、安定した支払いシステムを維持することができます。
【メリット3】スムーズにキャッシュレス決済できる
スムーズにキャッシュレス決済できることもメリットです。
具体的には以下のようなメリットです。
- スピーディーな決済が可能
- トラブルを軽減する
- 安全性が向上する
- 集計・分析がしやすい
以上のように、スムーズにキャッシュレス決済ができることには、多くのメリットがあります。
しかし、キャッシュレス決済に対して未だに抵抗感を持つ人もいるため、顧客教育や設備の整備などにも力を入れる必要があります。
スピーディーな決済が可能である
キャッシュレス決済は、現金を使った決済と比べて、よりスピーディーに取引を行うことができます。
特に、高額な取引や複数の商品を購入する場合には、現金を数えたり、お釣りを出したりする手間が省けるため、より効率的な決済が可能です。
トラブルを軽減する
現金を使った決済では、金銭のやりとりが発生するため、おつりの計算ミスや偽札などのトラブルが発生する可能性があります。
一方、キャッシュレス決済では、金銭のやりとりがないため、これらのトラブルが軽減されるというメリットがあります。
安全性が向上する
キャッシュレス決済は、セキュリティ面で現金よりも安全性が高いと言われています。
特に、スマートフォンやクレジットカードなどのデジタル決済では、顧客の情報を暗号化して送信するため、情報漏えいや不正アクセスのリスクを軽減できます。
集計・分析がしやすい
キャッシュレス決済は、取引履歴が電子的に保存されるため、集計・分析がしやすいというメリットがあります。
店舗側では、どの商品がよく売れているのか、どの時間帯にお客様が多いのかといった情報を把握することができます。
これにより、売上向上や効率的な営業戦略の立案が可能となります。
【理由1】コロナ前は訪日外国人の中でも中国人顧客が約3割を占めていた
事業者が日本のお店に「Alipay(アリペイ)」を導入したほうがいい理由の第一に、訪日外国人のうち中国人顧客の多さが理由にあります。
中国で新型コロナウイルスが急拡大していたためここ数年はコロナ以前ほどには中国人は日本を訪れていませんが、日本政府は2023年3月1日から「中国からの渡航者への新型コロナウイルスの水際対策を緩和する。」と発表しました。
コロナが収束し、直行便の本数が回復すればまた元通り訪日中国人も増加するでしょう。
【理由2】越境ECの市場規模は中国人消費者がトップである
越境ECでの市場規模も中国の消費者による日本事業者からの越境EC購入額も大きく、今後も拡大傾向にあります。
※参考:経済産業省「令和3年度 電子商取引に関する市場調査」(令和4年8月)
上図では中国の消費者による日本事業者からの越境EC購入額が2兆1,382億円で、前年比9.7%で増加しています。
※参考:経済産業省「令和3年度 電子商取引に関する市場調査」(令和4年8月)
また、越境ECでも購入したいという中国人消費者のニーズもある中で、中国における越境ECを利用する際の決済方法は「Alipay(アリペイ)」が47%を占めています。
越境ECについては以下の記事も併せてご覧ください。
越境ECについてのお役立ち資料は以下のボタンからダウンロードできますので、ぜひ参考にしてください!
【理由3】中国人消費者に最も使われているアプリである
「Alipay(アリペイ)」は中国人消費者に最も使用されているアプリです。
出典:https://www.douban.com/group/topic/212299245/
2021年の中国人気アプリランキングでは「WeChatPay(ウィーチャットペイ)」がランキング1位ですが、こちらはLINEのように友達とチャットができるSNSの要素が強いアプリになるので、生活に密着したモバイルペイメントアプリの観点から言えば「Alipay(アリペイ)」が最も使用されているといえます。
キャッシュレス化が進んでいる中国の中でも月間アクティブユーザー数が約8.3億人というシェアを誇っているとなれば日本の事業者も導入すべきでしょう。
【理由4】中国で使用されていないところはないほど普及している
冒頭でもお伝えしましたが、「Alipay(アリペイ)」はもはや中国で使用されていないところはないほど普及しています。
現在、中国国内では、800万の加盟店、海外では10万以上の加盟店があり、日本では4万以上の加盟店があります。
更に全世界のユーザー数が10億人を超える、まさに世界有数のオンライン決済サービスとしての地位を確立しています。
中国では日本よりもキャッシュレス化が大幅に進んでおり、財布を持って出かけるという人はかなり少なくなり、2018年の中国でのモバイル決済金額のうち「Alipay(アリペイ)」のシェアは54%に達しています。
【理由5】Alipay(アリペイ)アリペイユーザーは今後も拡大が期待できる
今後、日本では2025年に関西万博を控えており、2023年3月からは中国人入国者の規制緩和も始まり、中国人観光客を始め、世界からの旅行者が増加することは必至です。
今後も「Alipay(アリペイ)」ユーザーの拡大が期待できるでしょう。
Alipay(アリペイ)の導入方法
「Alipay(アリペイ)」を店舗に導入したい事業者は決済代行会社や金融機関などの「Alipay(アリペイ)」認定の代理店に申し込みします。
代理店の加盟店審査を受け、通過すると焼く10営業日程度で「Alipay(アリペイ)」を利用開始できます。
Alipay(アリペイ)の仕組み
日本のECサイトがショッピングの支払い手続きを「Alipay(アリペイ)」で決済できる「Alipay(アリペイ)国際決済」の仕組みは以下の図のようになっています。
代理店から事業者に売上入金を行う際には日本円で入金されます。
日本円で決済できるため、為替リスクがありません。
認定代理店の一例
公式サイトでは、2022年8月現在のAlipay認定の代理店である「アリペイ・ライセンス取得済パートナー」が掲載されています。
※参考:「アリババ公式サイト」
代理店と契約後の流れは、各代理店により異なりますが、一般的な流れとしてはまずは加入審査が行われます。
審査通過後にアカウントの発行が行われます。
アリペイ導入の手続きを簡単に済ませたい事業者は決済代行サービスを使うことがおすすめ
「Alipay(アリペイ)」決済代行サービス(代理店)は「Alipay(アリペイ)」と事業者の間に入る、仲介事業者としての役割を果たしています。
個人事業者が「Alipay(アリペイ)」と直接契約を結ぶのは言語の問題も含め、手続きを行うのに困難が生じます。
しかし、手続き内容を熟知した代理店が間に立てば、スムーズに「Alipay(アリペイ)」を導入できるので安心です。
また、積極的に宣伝を行って集客を増やしたい事業者にとっては決済代行を利用しない手はありません。
なぜなら、「Alipay(アリペイ)」決済代行サービス(代理店)で申し込みをすると加盟店になれるからです。
決済代行サービスについて詳しく知りたい方は以下の記事を参考ください。
Alipay(アリペイ)加盟店になるメリット
「Alipay(アリペイ)」の加盟店になることは集客を増やし、ひいては売上UPにも繋がります。
加盟店になると以下のメリットがあるからです。
・「Alipay(アリペイ)」の会員用サイト「Coupon」にアクセスできる
・「Alipay(アリペイ)」の会員用サイト「Coupon」に口コミ情報が掲載される
Alipay(アリペイ)以外にも様々な決済サービスを導入したいならマルチ決済アプリを利用する
マルチ決済アプリとは、複数の決済サービスを1つの決済アプリにまとめたものです。
「Alipay(アリペイ)」以外にも決済手段を増やしたい方におすすめです。
ただ、この場合複数のアプリの加盟店になるわけではなく、マルチ決済アプリの加盟店となることに注意してください。
「アリペイ」以外にも決済手段を増やしたい、などとお考えの方は以下の記事をご覧ください。
まとめ:Alipay(アリペイ)を導入すれば売上増を見込める
「Alipay(アリペイ)」加盟店になると決済手数料がかかることはデメリットです。
しかし、決済サービス(代理店)はサポートは充実していることや、「Alipay(アリペイ)」利用者が多いため導入することで売上増を見込めます。
また、中国人は日本の製品を高く評価しており、コロナ禍で渡航ができなくなっても越境ECでの市場規模も中国の消費者による日本事業者からの越境EC購入額は世界一です。
「Alipay(アリペイ)」を導入することで売上を上げることが非常に期待できそうなので、手数料にこだわるよりもECサイトで集客を増やすことを目的としましょう。
今後も更に中国人消費が拡大していく越境EC市場で事業を始めたいと考えている事業者もいると思いますが、ECサイトを運営する際、不正アクセス被害やサーバー攻撃によってサイトの停止まで追い込まれることがあるため、セキュリティ対策は必須です。
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アシスタントマネージャー 澁谷 優成