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不正受給とは?発生する3つの理由や対処法・被害を防ぐ対策

不正受給とは、給付金や補助金などを不正な手段を用いて受給することです。

新型コロナウイルス感染症の拡大後に支給された「持続化給付金」は、制度に欠陥があったことも影響し、不正受給者が多発して大きな話題となりました。

企業や官公庁が不正受給の被害に遭った場合、金銭的な損失だけではなく社会的な非難を浴びるなど多大な損害を被ります。

そこで本記事では、

  • 不正受給の概要
  • 不正受給が起こる理由
  • 不正受給の具体的な事例
  • 不正受給への対処法・未然に防ぐ対策

などを解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。

3分で分かるなりすまし不正対策

不正受給とは「正当な条件を満たさず不正に補助金などを受け取ること」

不正受給とは、給付金やその他の補助金などを不正な手段で受け取ることです。

不正受給を企む者は、虚偽の情報を記載したり数字を改ざんしたりして、条件を満たしていないにもかかわらず不正に補助金などを受け取ろうとします

不正受給の対象は、国が主体となって実施する給付金や補助金だけではありません。金融機関や企業内など、身近なところでも行われるリスクがあります。

【不正受給の対象となり得るもの(一例)】

  • 国が主体となって実施する給付金や補助金
  • 社員に対して支給される交通費や旅費
  • 事業資金などの銀行の融資

不正受給を防ぐ対策は、自社の経営資源を守ったり公正な資金の配分を確保したりするために欠かせない重要な取り組みです。

したがって、補助金や給付金の申請者はもちろん、審査する側も不正受給がどのようなものか理解しておく必要があります

不正受給が発生する主な3つの理由

不正受給が発生する主な理由として、次の3つが考えられます。

  1. 自己利益を多く得ようとするため
  2. 制度に欠陥や脆弱性があるため
  3. 不正行為が発見されにくい要素が隠れているため

さっそく一つずつ見ていきましょう。

【理由1】自己利益を多く得ようとするため

不正受給の多くは、自己利益を他人よりも多く得ようとするために発生します。

大きな理由として考えられるのは、「経済的な不安を解消したい」「高い生活水準を維持したい」などの金銭的な欲求によるものです。

もし不正受給をされてしまったら、企業や官公庁は次のようなリスクがあります。

【不正受給をされたことによる企業・官公庁側のリスク】

  • 信頼性や評判の失墜
  • 金銭的な損失
  • 法的な問題が発生する可能性
  • 社会的な非難を受けるリスク

給付金などの申請を受けた時には、申請が正当なものか・書類に虚偽はないかなどを把握して、不正受給が起こらないように努めなければなりません

【理由2】制度に欠陥や脆弱性があるため

実は給付金や補助金は、素早い給付が求められることもあり、制度が不完全なまま施行されるケースも少なくありません。

制度に欠陥や脆弱性があると、その部分をついて不正受給が発生しやすくなります。

たとえば、新型コロナウイルスの影響による損失を補填するために施行された給付金制度では、次のような点が悪用されて不正受給が多発しました。

  • 売上や賃料の数字を操作しやすい
  • 虚偽の申請書を作成しやすい(事業を実施していない・給付対象でないにもかかわらず申請するなど)

参考:経済産業省

制度の欠陥や脆弱性に気づいた時には、担当者や担当機関に問い合わせることも大切なプロセスです。

【理由3】不正行為が発見されにくい要素が隠れているため

不正受給が起こる理由の1つに、「不正行為が発見されにくい要素」が隠されていることも挙げられます。

たとえば、次のような要素です。

  1. 専門的な知識の不足
  2. 監査の範囲や頻度が不十分
  3. 内部統制の不備
  4. 告発したことによる報復の恐怖
  5. 事実の隠蔽

不正受給を防止するには、「不正行為は絶対に許さない」という姿勢を申請者側に見せることが大切です。

申請者側に隙を与えないためにも、制度への正しい理解や審査体制の構築などを進めたうえで、毅然とした態度で審査に応じるようにしましょう。

不正受給の具体的な事例3つ

本章では、実際に起こった不正受給の具体的な事例を3つ紹介します。

  1. 市役所職員が個人事業主と偽って持続化給付金を不正受給
  2. 大学教員による研究費の不正受給
  3. コンサルタントが不正な請求を指南して持続化給付金を不正受給

同様の手口による被害を防ぐためにも、過去の事例をぜひご覧ください。

【事例1】市役所職員が個人事業主と偽って持続化給付金を不正受給

1つ目は、市役所職員が個人事業主と偽って持続化給付金を不正に受け取った事例です。

この職員は全額返済しましたが、虚偽の申請で信頼を著しく失墜させたことで懲戒免職となりました。

本事例の経緯は、次のとおりです。

  1. 2020年、市役所職員であるにもかかわらず「個人事業主」と虚偽の申請を行う
  2. 申請が通り、100万円の持続化給付金を受け取る
  3. 2023年3月、職員は不正受給した100万円を全額返済
  4. 2023年6月、市の聞き取りに対して職員が不正受給を認めたため、懲戒免職処分となる
  5. 市長が市民に対して謝罪と職員の意識改革・組織風土の改革に努めると宣言する

不正受給をした職員はもちろん、事態を防げなかった市も信頼を大きく失墜する結果となってしまいました。

【事例2】大学教員による研究費の不正受給

大学などで行われる研究には、「公的研究費」の名目で税金から支払われている費用があり、目的以外のことに使用するのは違反となります。

今回は、カラ出張や目的外使用などで公的研究費が不正に使用された事例を紹介します。

  1. 対象者は他大学の非常勤講師で、以前より講義のために出校する際に交通費を受領していた
  2. 非常勤講師は科研費研究のために出張する際、他大学での講義や見学と日程を合わせて出張することがあり、交通費の全額を科研費から受け取っていたにもかかわらず大学側からも交通費を受け取っていた(重複受領)
  3. また、他法人が主催する海外ツアー代金も該当大学の公的研究費から支出されていたが、ツアーの目的と研究課題に直接的な関連性が見られなかった

本事例は、大学側のチェック体制が十分であれば、非常勤講師への支払いを未然に防げた可能性があります。

不正受給は、双方の認識の甘さが引き起こすことを十分に認識しなければなりません

【事例3】コンサルタントが不正な請求を指南して持続化給付金を不正受給

コンサルタントが主導となった不正受給も、事例としてよく見られます。

特に持続化給付金は、スピード給付を重視したため審査が甘く、不正受給も多発しました。

コンサルタントはその点に目をつけ、不正受給を指南したものとみられます。本事例の概要は、次のとおりです。

  1. コンサルタントの社長ら3名が20代の男性に虚偽の申請をさせ、給付金100万円をだまし取る
  2. 3名は持続化給付金の制度を理解したうえで、「仲介料20万円で給付金がもらえる」と勧誘してLINEで申請方法を教えていた
  3. コンタルタントらの指示で不正受給をしたうちの1人が自首したことにより、事件が発覚
  4. 同様の手口で不正受給をしていた疑いがある者は約200人にのぼった

制度をよく理解するコンサルタントがこのような過ちを犯すと、被害が拡大する傾向にあります。

この場合は同じグループが不正受給を指導しているため、申請書にも同様のパターンが見られる可能性があります。

受け取った申請書に少しでも違和感を感じたら、上司や専門家に相談してみると良いでしょう。

不正受給された場合の対処法3選

細心の注意を払って対応しても、不正受給されてしまうリスクはあります。

そのため、万が一不正受給が発生した時の対処法を事前に把握しておくことも大切です。

本章では、3つの対処法について紹介します。

1.証拠収集と法的措置の検討

【証拠収集と法的措置の検討のために必要な項目】

  • 証拠の収集
  • 法的措置の検討
  • 法的手続きの準備・実施
  • 外部専門家への協力依頼

不正受給が疑われる申請がある時には、まず十分な証拠を収集しましょう。

また、法的措置が必要かどうかも検討します。自社で判断ができない時は、外部の専門家へ協力を依頼すると良いでしょう。

2.資金の返還と信頼の回復の手続き

不正受給によって生じた損害を最小限に留めるためにも、資金の返還と信頼の回復手続きは重要なステップとなります。

確実に不正受給が判明した場合には次の手順を実施し、なるべく短期間で問題解決できるように努めましょう。

【資金の返還と信頼回復の手続きに必要な手順】

  • 不正受給額の特定
  • 返還計画の策定
  • 交渉と和解
  • 信頼回復への手続き

3.ステークホルダーへの報告と情報の共有

不正受給が発生した際は、ステークホルダー(利害関係者)にも説明が必要です。

このとき、情報の正確性と一貫性を確保し、誤解を招いたり事実と違う情報が一人歩きしたりしないように努めなければなりません。

報告と情報共有は適切なタイミングで慎重に行い、正確な情報を伝えることを心がけましょう

不正受給を未然に防ぐ3つの対策

不正受給を未然に防ぐ対策は、主に次の3つです。

  1. 罰則についての規定を定めて明示する
  2. 専門家と協力しながら厳格な申請審査を実施する
  3. ITツールを活用する

不正受給が一度発生してしまうと、事態の終息までに相当な時間と手間を費やしてしまうため、被害を防ぐ対策に取り組むことが大切です。

【対策1】罰則についての規定を定めて明示する

不正受給のリスクが高いことを明確にしておくと、不正行為の抑制につながります。

罰則についての規定を定め、「不正が発覚したらどうなるか」を明示しておきましょう

申請を受ける側も「不正行為は許さない」という姿勢を強く見せることが重要です。

【対策2】専門家と協力しながら厳格な申請審査を実施する

不正受給を防ぐためには、厳格な申請審査が欠かせません。

その際、警察官OBや弁護士などに協力を依頼すると、専門的な見地から不正な申請かどうか判断する際の助言を得られることがあります。

【専門家と協力しながら申請審査を行うメリット】

  • 内容に違和感を感じる申請に対して専門家のアドバイスを受けられる
  • 制度を把握していても避けられない、虚偽の申請が通るリスクを軽減できる

【対策3】ITツールを活用する

申請に対して厳重なチェックを心掛けていても、人手不足や申請時期の集中などが影響し、ヒューマンエラーが発生してしまうケースがあります。

そのような時は、ITツールの活用も効果的です。

ITツールを効率よく活用することで、自動化によるミスの防止不正受給に関するリスクの軽減につながります。

【不正受給を防ぐためにITツールを活用するメリット】

  • アクセス制御とセキュリティの強化
  • リアルタイムの警告と通知
  • プロセスの自動化によるヒューマンエラーの防止
  • 処理内容やログの監査・追跡による不正受給リスクの軽減

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まとめ

不正受給とは、正当な条件を満たさないにもかかわらず、不正な手段を用いて給付金や補助金などを受け取ることです。

不正受給が発生する主な理由として、次の3つが挙げられます。

【不正受給が発生する主な3つの理由】

  1. 自己利益を多く得ようとするため
  2. 制度に欠陥や脆弱性があるため
  3. 不正行為が発見されにくい要素が隠れているため

申請を受ける側は、不正受給を未然に防ぐためにも次のような対策を講じることが大切です。

【不正受給を未然に防ぐ3つの対策】

  1. 罰則についての規定を定めて明示する
  2. 専門家と協力しながら厳格な申請審査を実施する
  3. ITツールを活用する

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