「受け取り拒否はどうやってやればいいの?」
「荷物の保管期間を過ぎてしまったらどうなる?」
身に覚えのない荷物が届いたり、長期不在を予定している場合は、このような悩みが出てきます。
受け取り拒否は、不要な郵便・宅配物を返送する際の手段で、やり方は比較的簡単に行うことができます。
また、荷物の保管期間が過ぎてしまって発送先に送り返されてしまう場合も、受け取り拒否と見なされます。
この記事では、
- 受け取り拒否のやり方
- 受け取り拒否できない配達物
- 荷物の保管期間が過ぎてしまった時について
などを解説していきます。
いざという時にすぐ対応できるように、本記事を一読し、受け取り拒否のやり方や受け取り拒否できない配達物について覚えておきましょう。
ポスティングやDM配送にお困りの事業者さまは以下のボタンから資料をダウンロードして参考にしてください。
目次
受け取り拒否とは?
受け取り拒否とは、自分宛ての配達物を受け取りたくなく、受け取りを拒絶する意思を示して返送してほしい時に利用できる制度です。
受け取りたくない正当な理由として、
- 身に覚えのない荷物(勝手に代引きで送られたなど)
- 架空請求
- 一方的に送り続けられるDM
などがありますが、中には購入者側の身勝手な理由による受け取り拒否もあります。
また、受取拒否に明確な期限はないものの、荷物到着後 「迅速」 に 受取拒否の手続きを行うことが原則です。
日数が経ち過ぎているものは返送できない恐れもあるので、注意しましょう。
受け取り拒否が発生するケース4つ
日常生活であまり起こらない「受け取り拒否」ですが、どのようなケースで発生するのかを覚えておくといいでしょう。
受け取り拒否が発生するケースは主に4つあります。
- 荷物の保管期間までに受け取れなかった
- 身に覚えのない荷物が届いた
- 架空請求やいたずら、DMなどが一方的に送られてきた
- 購入者側のいたずらや身勝手な理由によるキャンセル
それぞれど詳しく解説していきます。
【ケース1】荷物の保管期間までに受け取れなかった
旅行や出張などによる長期不在により、荷物の保管期間までに受け取れないケースも受け取り拒否と見なされます。
届くのに時間がかかる商品は、以前注文したことを忘れて旅行をしてしまったなどの事情も考えられるので注意しましょう。
このような状況で受け取り拒否になってしまうと、ネット通販で買い物した商品の場合は、購入者側が送料の負担をしなければいけないことが多いです。
注文したことを忘れないためには、配送業者のアプリを登録して荷物のお届け予定日をお知らせしてくれるサービスを利用するのもおすすめです。
【ケース2】身に覚えのない荷物が届いた
一番厄介なのが身に覚えのない荷物で、これを「送り付け商法」とも言います。
下記のようなケースには、特に注意しましょう。
- AmazonなどECサイトで頼んでもいない商品が代引きで送られてくる
- 送り主不明の荷物が届く
- 断ったのに健康食品や魚介類などの商品が届く
国民生活センターにも、健康食品や魚介類の送りつけ商法に関する相談が寄せられています。
このような場合には、後ほど説明する「2章. 受け取り拒否のやり方を4ステップで紹介」で受取拒否をすることが可能です。
他にも、以前住んでいた住人の荷物が送られてくる場合も受取拒否して大丈夫です。
【ケース3】架空請求やいたずら、DMなどが一方的に送られてきた
架空請求やいたずら・DMなど一方的に送られてきたものを受取拒否するパターンもあります。
中には、一度ではなく定期的に送られてきて困るものもあるでしょう。
もし、勧誘のDMが何度も送られてくるという場合は、送付先に連絡をして送るのをやめてもらうようにお願いしてみましょう。
また、架空請求やいたずらは犯罪行為でもあるため、受け取り拒否だけではなく、警察にも相談するようにしましょう。
【ケース4】購入者側のいたずらや身勝手な理由によるキャンセル
初めから商品を受け取るつもりがないいたずら注文や、「今払えるお金がなかった」「この商品の気分ではなくなった」などの身勝手な理由でキャンセルするケースが見られます。
しかし、受取人が受取拒否をした事実は発送元に伝わりますし、送料を負担しなければいけなくなる可能性は高いです。
身勝手な理由によるキャンセルや受け取り拒否は、迷惑行為でもあるので絶対にやめましょう。
受け取り拒否のやり方を4ステップで紹介
ここからは、受取拒否をしたい場合に踏むべき手順を4ステップで紹介します。
- 配達員から手渡された場合、まずは口頭で受取拒否する
- 赤字で「受取拒否」と明記して署名・捺印する
- 受取拒否する郵便物に貼り付ける
- ポストに投函、もしくは郵便局へ持参する
郵便物がポストに投函されていた場合、ステップ2から始めてみてください。
なお、ここで紹介するのは日本郵便のサービスで有効なやり方です。
佐川急便やヤマト運輸など「日本郵便以外のサービス」で受取拒否をする場合、それぞれの配送業者に連絡しましょう。
【ステップ1】配達員に口頭で受取拒否と伝える
配達員から荷物を手渡された場合、まずは口頭で「受取拒否」したい事実を伝えます。
ステップ2の内容で対応したのち、そのまま持ち帰ってもらうと良いでしょう。
【ステップ2】赤字で「受取拒否」と明記して署名・捺印する
メモや白紙を用意して、目立つように赤字で「受取拒否(受取拒絶でも可)」と書き、押印または署名をします。
実印が手元にない場合は認印を使用しても大丈夫ですが、署名はフルネームに限ります。
また、メモや白紙がない時は、封筒に直接「受取拒否(受取拒絶でも可)」と書いても問題ありません。
【ステップ3】受取拒否する郵便物に貼り付ける
次に、署名・捺印した紙を、受取拒否する郵便物に目立つように貼り付けます。
はがきの場合、宛名書きの面に貼ると分かりやすいです。
このとき、受け取りたくない理由も添えると親切でしょう。
【ステップ4】ポストに投函、もしくは郵便局へ持参する
最後に、上記の3ステップが済んだ郵便物を郵便窓口に持っていきます。
もしポストに入るサイズであれば、ポストに投函しても大丈夫です。
なお、これは日本郵便を使って届いた郵便物を受取拒否する場合の説明です。
ヤマト運輸や佐川急便など他の事業者からの荷物の場合、郵便窓口では受付できません。
荷物が届く前でも受け取り拒否はできる?
事前に荷物が届くのが分かっていて、その荷物を届く前に受け取り拒否したいケースもあります。
ヤマト運輸では、荷物が届く前でも電話連絡で受け取り拒否が可能です。(参考:ヤマト運輸)
電話連絡をする前に、送り状(伝票)番号と荷物が届く予定の住所、返送先住所を伝えられるように準備しておきましょう。
佐川急便や日本郵便では、荷物が届く前の受け取り拒否についての記載はないため、直接配送業者に確認してみましょう。
受け取り拒否できない配達物もある
ここまで正当な受取拒否の手順を紹介してきましたが、下記は例外的に受取拒否を適用できないものです。
- 特別送達
- 開封された配達物
- 受領後の代引全般
それぞれ詳しく解説していきます。
特別送達
受取拒否は誰でも利用できる制度ですが、「特別送達」は原則的に受取拒否が不可です。
特別送達とは、日本郵便株式会社が裁判所から訴訟関係人などに送達すべき書類を送達し、その送達の事実を証明する郵便物の特殊取扱である。
民事訴訟法106条により、正当な理由なく送達を拒む場合は、差置送達(その場に郵便物を差し置くこと)で送達が完了したことになります。
そのため、そのまま放置していれば差出人に返還されて終了するといったことはありません。
特別送達の配達方法の詳細については、以下をご覧ください。
※引用:ウィキペディア
開封した荷物
開封後の受取拒否はできません。
しかし、宛先をしっかり確認せず、開封後に配達物が自分宛ではないと気付くケースもあると思います。
気付かずに開封してしまった場合、法では以下のように定められています。
配達局に電話し「誤配と気付かず開封しました」と伝えれば、担当者が回収と謝罪に来ます。
悪いことをしているわけではないので、正しい対処を行いましょう。
ここでやってはいけないことは、誤配と気付いたにも関わらず、勝手に処分したり自分のものにしてしまうことです。
バレないと思って捨てたりする行為は犯罪ですので、絶対にやめましょう。
受領後の代引き全般
一度受け取りになった代引きの商品は、郵便局では返品・返金に応じられません。
こちらは、確認までの間の受け取りを保留(保管期間:1週間)にすることが可能なので、身の覚えのない荷物の場合は確認してから引き取るようにしましょう。
もし、代引きの代金を支払った後に身に覚えのないものだと判明した場合は、まずは通販会社に連絡を取り、事情を説明して返品や返金の対応を求めましょう。(参考:国民生活センター)
受領後の受け取り拒否ができるのは、以下条件を全て満たしている場合だけですので覚えておくようにしましょう。
・多人数が集合する場所(一般的には、企業・病院・集合住宅で管理人等本人以外が受け取って本人に渡す場合が該当する)の受付で受領印が押印されて配達されたもの
・受領後遅滞なく受取拒否の連絡がある
・開封しておらず、封かんに異常がない
・配達証明、特別送達、代引引換ではない
荷物の保管期間を過ぎてしまった場合はどうなる?
荷物の保管期間を過ぎてしまった場合は、受け取り拒否と見なされて発送元に送り返されます。
意図しない受け取り拒否が起こらないためにも、確実に受け取ることができる日時を指定するのがおすすめです。
長期間不在になる場合
旅行や出張などで、長期間不在になる場合も注意が必要です。
日本郵便の場合、不在となる期間(最長30日)をあらかじめ不在届により届けておけば、その期間内に到着した郵便物等は届出期間終了後に配達してもらえます。
※引用:日本郵便
不在届作成方法は、『こちら』からダウンロードして行ってください。
また、ヤマト運輸や佐川急便では長期間不在時の対応はしていないため、荷物の保管期間を過ぎてしまうと発送元に送り返されてしまうので注意しましょう。
配送業者(日本郵便以外) | 長期不在時の対応 |
---|---|
ヤマト運輸 | |
佐川急便 |
意図しない受け取り拒否を防ぐ対策3つ
ECサイトによって異なりますが、荷物の保管期限が過ぎて受取拒否になってしまった場合は往復送料と代引き手数料は購入者に請求されることが多いです。
このような意図しない受取拒否を未然に防ぐ対策は、主に以下の3つです。
- 受取日時を指定する
- メール受信設定を確認する
- 商品のキャンセルはいつまで可能か確認する
意図しない受取拒否は無駄なコストや労働力を生み出しますが、日頃から少し注意をしていれば、それらを減らしていくことは可能です。
受け取り拒否対策について、それぞれ詳しく解説していきます。
【対策1】受取日時を指定する
あらかじめ、配送日や受取日を確認しておきましょう。
いつ届くのかが分かっていれば、その時間帯に自宅で待機しやすくなります。
また、届けてくれる人を振り回さないように、自分の予定が入らない・都合がよい時間帯を指定するよう心がけましょう。
そして長期不在になることが前もって分かっている場合には、できるだけ早くECサイトへの問い合わせを行うのが好ましいです。
【対策2】メール受信設定を確認する
購入者のメール受信設定において、ECサイトからのメールが受信拒否や迷惑メールとして扱われていないか確認しましょう。
これらにより、購入者がメールを確認できていないことがあります。
結果として、購入者とEC事業者が意思疎通できず、受取拒否を引き起こしてしまう危険性があるのです。
【対策3】商品のキャンセルはいつまで可能か確認する
最近では、「発送するまで」や「購入から何日間」といった記載の元で、キャンセル料を無料にしている企業も多いです。
「注文をキャンセルしたい」という理由で手元に届いてから受取拒否するのではなく、商品を頼む際にキャンセル事項も同時に確認するようにしましょう。
参考. 各配送業者の荷物の保管期間
配送業者それぞれの荷物の保管期間は、以下をご覧ください。
配送業者 | 荷物の保管期間 |
---|---|
ヤマト運輸 | |
佐川急便 | |
日本郵便 |
荷物の保管期間を過ぎて発送元に送り返されてしまうと、発送元から送料や代引き手数料などの請求がくる可能性が高いです。
受け取り拒否に関してよくある質問と回答
最後に、受取拒否に関してよくある5つの質問に回答します。
- 郵便物を受取拒否すると相手に知られる?
- 家族が受取拒否してしまった場合はどうなる?
- ゆうメールは受取拒否できる?
- 郵送先に受取拒否された場合はどうなる?
- 内容証明郵便は受取拒否できる?
気になったものがあれば、ぜひチェックしてみてください。
【質問1】郵便物を受取拒否すると相手に知られる?
郵便物を受取拒否すると、相手に知られることになります。
なぜなら、「受取拒否のやり方を4ステップで紹介」でお伝えしたとおり、受取拒否をする際は押印をしたりフルネームを記載したりするからです。
前提として、相手に知られて困るような受取拒否はしないようにしましょう。
なお、受取拒否をすることで「定期的に送られてくるようなDMが今後送られてくることがなくなる」など、プラスに働くこともあります。
【質問2】家族が受取拒否してしまった場合はどうなる?
本人の知らぬ間に家族が受け取りを断った郵便物は、運送業者が一定の期間保管したあと差出人に返還されます。
したがって、可能であれば運送業者が保管している間に再配達の手続きをしましょう。
ネットショッピングの場合、差出人に返還された郵便物の往復送料と代引き手数料は購入者に請求されるケースがあります。
詳しくは、発送元に問い合わせを行いましょう。
【質問3】ゆうメールは受取拒否できる?
日本郵便によるサービスの一つである「ゆうメール」は、受取拒否が可能です。
ただし、ゆうメールはポスト投函で配達が完了するため、配達員に直接受け取り拒否だと伝えるタイミングがありません。
「受取拒否のやり方を4ステップで紹介」でお伝えしたとおりの方法で、郵便局に持参もしくはポストに投函するようにしましょう。
【質問4】郵送先に受取拒否された場合はどうなる?
受取拒否された郵便物は、差出人に返送、あるいは郵便局に保管されます。具体的な流れは次のとおりです。
- 郵便局にて郵便物を開封する。もし差出人が分かれば返送される
- 差出人が分からなければ、3ヵ月間は郵便局で保管される
- 3ヵ月経っても差出人が現れなければ、郵便局で破棄される
【質問5】内容証明郵便は受取拒否できる?
内容証明郵便も受取拒否はできます。
内容証明郵便は、いつ・誰が・誰に対して・どんな内容の文書を送ったのか日本郵便が証明するもので、配達員から宛名本人に手渡して署名をもらうことが基本的なルールです。
受取拒否をする場合、配達員に直接受け取らない旨を伝えましょう。
受取拒否をした事実と日時は記録され、そのあと一定の期間保管されたのち差出人の元へ返されます。
注意点として、内容証明郵便を無視すると受取人によくない問題が起こる可能性があります。
たとえば、裁判所から届く訴状を受取拒否する場合、
- 裁判所の心証を悪くする
- 相手方の主張を認めたものと判断される
などのケースがあるため、裁判所から郵便が届いた場合は必ず受け取り、弁護士に相談してください。
また、返信が必要なものも多いため、理由なく受取拒否をすることはおすすめしません。
【質問6】受け取り拒否した場合の送料は誰が負担?
ECサイトによって異なりますが、往復送料と代引き手数料は購入者に請求されることが多いです。
事情があり受取拒否になってしまった場合は、すぐに発送元に問い合わせを行いましょう。
企業向けの受け取り拒否対策については、以下の記事で詳しく紹介していますので企業様はぜひ参考にしてください。
まとめ
この記事では、パターン別の受け取り拒否の具体的な手順、意図しない受取拒否対策などを紹介しました。
受取拒否に関して購入者が注意すべき点は、主に以下の3つです。
- 受取拒否は送料などの負担が購入者に発生する
- 事情があり受取拒否になった場合、すぐに発送元に問い合わせをする
- 身に覚えのない荷物の受取拒否をする場合、しっかり開封前の確認を行う
受け取り拒否のやり方は比較的簡単ですが、受け取り拒否できない配達物もあるので注意しましょう。
・特別送達
・開封された配達物
・受領後の代引全般
また、受け取り拒否を行う前に本当に自分や家族が注文した商品ではないかを、よく考えてから行うようにしてください。
そして、長期不在などの理由で受け取り拒否となってしまわないように、商品を注文する時は日時の指定や希望配達日を発送先に伝えるようにしましょう。