補助金・助成金などは、「申請代行業者」に代理申込をしてもらえます。
しかし、助成金コンサルを名乗る業者の勧誘に引っかかるなど、知らぬ間に不正受給に関与してしまうケースもあるため注意が必要です。
また、申請を受ける側の企業や官公庁も、適切な対策をしていないと不正受給の被害に遭うリスクが高まるばかりです。
本記事では、補助金・助成金の代理申込に関する下記の内容を解説します。
- 補助金・助成金の代理申込を活用するメリット・デメリット
- 代理申込の活用で不正受給に関与してしまった事例
- 代理申込での不正受給に関与した場合の主なリスク
- 代理申込での不正受給を回避する主なポイント
記事の後半では「補助金・助成金の申請を受ける側におすすめの対策」もお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。
目次
補助金・助成金の「代理申込」とは
代理申込とは、「申請代行業者」が補助金・助成金などを代理で申請することを指します。
申請代行業者の例は、下記のとおりです。
【申請代行業者の例】
- 弁護士
- 税理士
- 金融機関
- 行政書士
- 公認会計士
- 社会保険労務士(※)
- 中小企業診断士
- 商工会や商工会議所
- コンサルティング会社 など
※助成金の申請代行は、社会保険労務士の独占業務
補助金・助成金の多くは返済不要のため、受給することは経営の安定化につながります。
また、信用を得られないと受給できないことから、受給できれば間接的に外部からの信用を得られます。
しかし、要項の理解・条件の適否の確認・書類の準備などが煩雑で、日々の忙しい業務をこなしながら申請するのは簡単ではありません。
そこで頼りになるのが、補助金・助成金などを代理で申請してくれる「申請代行業者」です。
補助金・助成金の代理申込を活用するメリット・デメリット
続いて、「申請代行業者」に補助金・助成金の代理申込をしてもらうメリットとデメリットを確認しましょう。
補助金・助成金の代理申込を活用するメリット
補助金・助成金の代理申込を活用する大きなメリットは、「煩雑な申請手続き」の手間を削減できることです。
たとえば、申請書作成はとても時間がかかるため、自社で行うとコア業務を圧迫するおそれがあります。
しかし、申請代行業者に依頼すると、申請書の作成から提出までを専門家に一任することが可能です。
また、プロの事業者が書類を作成してくれるため、補助金・助成金の採択率向上も期待できます。
補助金・助成金の代理申込を活用するデメリット
補助金・助成金の代理申込を活用するデメリットは、コストがかかることです。
申請代行業者に委託するため、委託料が発生します。
しかし、従業員に申請書を作成してもらう場合も従業員のリソースが奪われるので、人的コストは発生しています。
一方で、専門家に委託すると
- 従業員がコア業務に集中できる
- 採択率が高まる
などのメリットを得られるため、委託料を払ったとしても代理申込を活用したほうがプラスに働くケースは少なくありません。
ただし、代理申込の活用でもう1点注意すべきなのは、稀に不正受給に関与してしまうリスクがあることです。
委託業者が不正をして得た補助金や助成金を、知らぬ間に受給してしまう場合があるのです。
詳しくは次の章で解説します。
【事例】代理申込の活用で「不正受給」に関与するリスクがある
不正受給とは、要件を満たしていないにも拘(かか)わらず申請したり、虚偽の情報が記載された書類を提出したりと、不正な手段で申請する行為です。
実は代理申込を活用することで、知らぬ間に不正受給に関与してしまうケースがあります。
この章では、実際に発生した下記2つの事例を紹介します。
- コンサルタントが不正な請求を指南して持続化給付金を不正受給
- 社会保険労務士ではない者による助成金の申請代行
【事例1】コンサルタントが不正な請求を指南して持続化給付金を不正受給
1つ目は、コンサルタント会社の社長らが、不正な申請を指南して持続化給付金を受給させていた事例です。
受給条件を満たしていないにも拘(かか)わらず、「虚偽の情報」をもとに持続化給付金を申請させ、コンサル料として多額のお金を騙し取っていた疑いがあります。
本事例の容疑者らは、数ヵ月の間で約200人、総額2億円ほどの不正受給に関与していたものとみられています。
※参考:朝日新聞デジタル
【事例2】社会保険労務士ではない者による助成金の申請代行
2つ目は、無資格者などの第三者が助成金の申請を代行する事例です。
そもそも助成金の申請代行は、社会保険労務士の独占業務になっています。
つまり、社会保険労務士でない者が申請代行した助成金を受け取ることは、法律上認められていません。
しかし、「助成金コンサルタント」を名乗る者が申請代行に関与した不適切な事例が発生しました。
もしこのようなケースでコンサルタントに報酬を支払う場合、その時点で不正受給に該当すると考えられます。
※参考:厚生労働省
代理申込での「不正受給」に関与した場合の主なリスク
代理申込で不正受給に関与した場合、下記のようなリスクがあります。
【代理申込での「不正受給」に関与した場合に発生し得る主なリスク】
- 補助金・助成金の返還
- 加算金(遅延損害金)の支払い
- 詐欺などの罪による実刑判決
- 企業名公表
- 企業・ブランドの信頼低下
※参考:厚生労働省
不正受給した補助金・助成金の返還はもちろんのこと、加算金(遅延損害金)の支払いが求められる場合もあります。
また、詐欺罪などの罪に問われ、企業名公表によって信頼が低下するなど、社会的にも大きなダメージを受けてしまうのです。
このように、たとえ代理申込で不正受給に関与した場合であっても、事業主も責任を問われることになります。
不正受給による炎上に備えて、事業者さまは以下からお役立ち資料をぜひダウンロードして参考にしてください。
代理申込での「不正受給」を回避する主なポイント
代理申込での不正受給を回避するためには、委託先が信頼できる「申請代行業者」であるかを見極めなければなりません。
その際は、下記に挙げるポイントを押さえておきましょう。
【代理申込での「不正受給」を回避する主なポイント】
- 開口一番に補助金や助成金を勧めるような業者には近づかない
- 補助金の申請代行業者が「認定支援機関」に該当するか確認する
- 申請代行業者の申請実績や保有資格を確認する
- 助成金の代理申請は社会保険労務士にのみ依頼する
まずは、補助金の申請代行業者が「認定支援機関」に該当するか確認します。
認定支援機関は、中小企業庁のサイトから検索することが可能です。
また、申請代行業者の申請実績や保有資格を確認しましょう。特に助成金の代理申請ができるのは、社会保険労務士に限定されています。
なお、「事業再構築補助金」や「ものづくり補助金」のように、外部支援者とのトラブルによる相談窓口が設けられていることもあります。
少しでも怪しいと感じた場合、相談窓口に連絡しましょう。
補助金・助成金の申請を受ける側にも不正受給への対策が求められる
ここまで、代理申込を活用する企業の視点で考えられるメリットやリスクなどを解説してきました。
一方で、補助金・助成金の申請を受ける側にも、不正受給の被害を防ぐための対策が求められます。
なぜなら、企業や官公庁が不正受給の被害に遭うと、金銭的な損失に加えて社会的な非難を浴びるなど、大きなダメージを受けるリスクがあるからです。
申請を受ける側にできる対策はいくつかありますが、なかでも「なりすまし申請」による対策におすすめなのが、不正アクセス検知サービスの活用です。
たとえば、かっこ株式会社の「O-MOTION」は、不正の可能性があるアクセスをリアルタイムに検知し、なりすまし申請を見つけた際は「2要素認証」「アクセス遮断」を組み合わせることで、不正なアクセスを防止できます。
独自で所有するユーザーの操作情報やデバイス情報・アクセス時間などをもとに、不正アクセスかどうかを高精度に判別することが可能です。
実際に、不正受給の防止を目的に本サービスを導入する金融機関もみられるようになりました。
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まとめ:補助金・助成金の「代理申込」は、業者を厳選しよう
代理申込とは、「申請代行業者」が補助金・助成金などを代理で申請することです。
代理申込を活用すると、煩雑な申請手続きの手間を削減できるメリットがある一方で、知らぬ間に不正受給に関与してしまうリスクもあるため注意しなければなりません。
代理申込での不正受給には、下記のようなリスクが潜んでいます。
【代理申込での「不正受給」に関与した場合に発生し得る主なリスク】
- 補助金・助成金の返還
- 加算金(遅延損害金)の支払い
- 詐欺などの罪による実刑判決
- 企業名公表
- 企業・ブランドの信頼低下
※参考:厚生労働省
補助金・助成金の代理申込を検討している企業は、次のポイントを押さえて不正受給を回避しましょう。
【代理申込での「不正受給」を回避する主なポイント】
- 開口一番に補助金や助成金を勧めるような業者には近づかない
- 補助金の申請代行業者が「認定支援機関」に該当するか確認する
- 申請代行業者の申請実績や保有資格を確認する
- 助成金の代理申請は社会保険労務士にのみ依頼する
また、不正受給は申請を受ける側にも対策が求められます。
下記の記事では、不正受給が発生する理由や対処法・未然に防ぐ対策などをまとめて解説していますので、ぜひチェックしてみてください。