NFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)とは、ブロックチェーンの技術を活用し、当該デジタルデータに対して唯一性を付与できるデジタル資産です。
NFT作品は高騰化することもあり、売却後の利益獲得を目的に転売を始める人も少なくありません。
しかし、市場には悪質な行為や不正が横行しており、NFT転売を実施するリスクが潜んでいることも事実です。
そこで本記事では、NFT転売にまつわる下記の内容を解説します。
- NFT転売の概要
- 転売の前に押さえておきたい「NFTをめぐる現状」
- NFT転売に潜むリスク
NFTの特徴や活用事例を先に知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
目次
NFT転売とは
▲NFT二次流通の仕組み
※引用:消費者庁
NFT転売とは、NFT作品を購入金額よりも高値で販売することです。
国内でも、「2次流通市場」と呼ばれるマーケットプレイスなどのプラットフォームを通じて、NFT転売が盛んに行われています。
そもそもNFTとは、「Non-Fungible Token(代替不可能なトークン)」の頭文字を取った言葉で、データに「唯一性」を与えられる点が大きな特徴です。
NFT転売は、主に次のような流れで行われます。
- 販売形式に従って購入者が確定する
- 購入者がマーケットプレイスなどを通じて代金を支払う
- 代金から手数料を控除した金額が出品者に支払われる
NFT転売が通常の転売と違う点は、NFT作品が再販売された場合に、取引額の一部が還元される機能を持っていることです。
この機能により、出品者だけではなく「ロイヤリティを設定したNFT発行者」にも収益が発生します。
ロイヤリティはNFTの発行者があらかじめ設定でき、一般的には1〜3%程度と言われています。
転売の前に押さえておきたい「NFTをめぐる現状」
暗号資産業界は、世界的に冬の時代(クリプトウインター)を迎えているのが現状です。
次の表は、アメリカの調査会社が調べた「2020年からのNFT取引額の推移」をまとめたものです。
時期 | 取引金額 |
---|---|
2020年 | 8,250万ドル |
2021年8月 | 34億ドル |
2022年1月 | 35億ドル |
2022年10月 | 6億ドル |
※参考:日本経済新聞
2022年7〜9月のNFT平均価格は、ピーク時の2022年1〜3月よりも9割近く下落しました。
また、法整備に関しては、著作権・意匠権・不正競争防止法を含むIP関連(知的財産)の議論があまり進んでいないのが現状です。
未だ発展途上の段階にあり、動向のスピードも急速なことから、NFTの将来的な展望については予測困難な面も多いと言えます。
そのため、今後は想定を超えた展開や、予想もしなかった課題が生じる可能性は高いです。
加えて、日本ではNFTのパッケージ販売と二次流通市場を併設するサービスの「賭博該当性」に懸念があり、海外と比較してあまりNFT転売が進んでいないのが現状です。
儲けたい人は要注意!実はNFT転売にはリスクがある
NFTの市場が急成長していることや、先行者利益があることなどを誘い文句に「NFT転売は稼げる」「NFT転売で〇〇万円儲けた」という話を耳にする機会は少なくありません。
しかし、実は下記2つの側面からみてみると、NFT転売にあらゆるリスクが潜んでいることがわかります。
- 情報セキュリティから見たリスク
- 投資目的から見たリスク
それぞれ詳しく見ていきましょう。
NFT転売に潜むリスク|情報セキュリティ編4つ
まずは、情報セキュリティ面から見た4つのリスクを解説します。
- 盗品や偽物が混ざっているおそれがある
- 取引相手の特定が難しい場合がある
- 自作自演で価格や人気を操作している場合がある
- 悪質なボットの使用で価格操作される場合がある
【リスク1】盗品や偽物が混ざっているおそれがある
データの改ざんが極めて困難と言われているNFTですが、データ自体が偽物であればどうしようもありません。
実際のマーケットにも、権利者の許諾を得ていない非正規品が多く流通しています。
そもそもNFTの技術は、「NFTに紐づけられたコンテンツが正規品であるか」などを保証するものではありません。
よくある非正規品にまつわる詐欺事例は、次のとおりです。
【よくある詐欺事例】
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このように、NFT市場には盗作・詐欺商品が数多く出回っているのが現状です。
【リスク2】取引相手の特定が難しい場合がある
残念ながら、現在のNFTマーケットは取引相手が明確なケースばかりとは限りません。
アカウント開設時に本人確認を要しないサービスもあり、そのようなサービスを利用した場合、取引相手の特定は難しいです。
その結果、取引の間にトラブルが発生した際の責任の所在がはっきりせず、泣き寝入りしかできない状態になり得ます。
加えて、違法性がある商品を取引していた場合には、「自分が意図せずとも詐欺に加担していた」という悲しいケースにもなりかねません。
【リスク3】自作自演で価格や人気を操作している場合がある
NFT転売のなかには、自分で売って自分で買い取るという、いわゆる「自作自演」を繰り返しているケースがあります。
自作自演の目的の一つは、自分自身が作ったコレクションを高額で取引されているように見せかけることです。
詐欺を仕掛ける者は、NFTの知識が浅い人などをターゲットに価格や人気を操作して高額で購入させたり、プラットフォームが設定する副次的な報酬を得たりなどの詐欺行為を繰り返しています。
【リスク4】悪質なボットの使用で価格操作される場合がある
ボットとは、コンピュータを外部から遠隔操作するためのコンピュータウイルスのことです。
ボットによるNFT市場への悪影響として、次のようなものが挙げられます。
ボットの種類 | NFT市場への悪影響 |
---|---|
値下げボット | ・希望価格を大幅に下回る価格でNFTを大量に入札 ・実際に購入することなくNFTの価値を下げる |
値上げボット | ・低価格のNFTを購入 ・人為的に希少性を高めて人気を集め、二次市場で転売される |
入札ボット | ・自動化された入札競争によってNFTの価格を人為的に吊り上げる |
攻撃者は近年、お金が集まっているNFT周辺に目をつけ、価格や商品在庫の数字を操作したり偽の商品を販売したりする機会を狙っています。
NFT転売に潜むリスク|投資目的編2つ
投資目的でNFT転売を始めようとしている方は、下記2つのリスクに要注意です。
- 値下がりする場合があり必ず儲けられるとは限らない
- 買い手が現れず、すぐに売買できない場合がある
それぞれ詳しくみていきましょう。
【リスク1】値下がりする場合があり必ず儲けられるとは限らない
巷では「NFT転売は儲かる」など、一見すると簡単に稼げそうな話題が後を絶ちません。
しかし、投資目的で手に入れたNFT商品の価格が購入時より下がる場合もあり、必ず儲けられるとは限らないのが実状です。
その後、価格が上昇することなく転売せずに長期保有した結果、運用資金の減少にもつながってしまいます。
さらに、詐欺師が「この商品は将来値上がりする」などと言って経験の浅い利用者を狙い、購入を持ちかけることも少なくありません。
後から偽物や盗品だと気づいたり、価格が上がらなかった場合でも問い合わせ先がわからなかったりして、購入者が泣く泣く諦めるケースも見られます。
※参考:消費者庁
【リスク2】買い手が現れず、すぐに売買できない場合がある
投資目的でNFT商品を購入したものの、すぐに売れるとは限りません。
買い手が現れない限り取引は成立しないため、たとえ価値のある商品だとしても売れずに手元に残ってしまうリスクが発生します。
NFT転売は、「ギャンブル性が強い投資」とも言えます。
【企業向け】NFT転売で考えられる悪影響と不正対策
NFT転売でも問題になっているなりすましや乗っ取りは、事業者様にとっても他人事ではありません。
NFTに直接関わっていない企業でも、不正をおこなう者に対する対策が求められます。
そこでここからは、NFT転売で考えられる事業者様への悪影響と被害を防ぐ対策を紹介します。
NFT転売で考えられる事業者様への悪影響
NFT転売で考えられる事業者様への悪影響として、次のようなものが挙げられます。
【NFT転売で考えられる事業者様への悪影響】
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過去の事例では、有名アーティストのWebサイトがハッキングされ、同アーティストが発行するNFTを販売するように見せかけた広告が掲載されました。
その広告に騙されたコレクターのなかには、数千万円の被害に遭った者も確認されています。
もし企業のWebサイトがハッキングされた場合、同様の手口でコレクターから多額のお金を騙し取ることに悪用されるかもしれません。
また、近年はNFTをビジネスに活用する企業も増えていますが、不正者によって自社のアカウントを乗っ取られるリスクもあります。
NFT転売による被害を防ぐ対策
NFT転売がもたらす企業への被害を防ぐためには、日ごろからインターネットセキュリティにアンテナを張り、効果的な対策を実施することが大切です。
事業者様ができる対策として、次のようなものが挙げられます。
- 不正な新規アカウントの開設パターンを理解し、新規アカウント登録の妥当性を確認する
- 現在のボット対策を評価し、人間を模倣した高度な自動化と攻撃手段の改良に対抗する
- 不審な取引などを監視する(不正ログインや不審な取引がないかモニタリング)
- プラットフォーム上のユーザーを管理し、ユーザーが顧客かボットかを識別する(ボット攻撃を上流でブロックすることで、下流での不正行為を減らせる)
- 攻撃者はおそらく攻撃方法を改良し続けるため、事業者様も迅速に対応する
しかし、すべての対策を個人で行うのは大変な負担がかかるだけでなく、仕事に集中できずコア業務が疎かになりかねません。
そこでおすすめなのが、不正検知サービスの導入です。
なかでも、かっこ株式会社の「O-MOTION」は、ブルートフォースアタック/リスト型攻撃などのボット対策にも効果的です。
Webサイトにアクセスしたユーザーのログイン時の挙動や、アクセスした端末情報などを分析し、他人のなりすまし・BOTによる不正ログインをリアルタイムで検知します。
また、「O-MOTION」は、既存のお客様の利便性を損なわずに導入できることもポイントです。
審査結果は判定理由とともに安全度合いを3段階に分けてお伝えし、下記のようにリスクベースでの認証フローを構築できます。
- 安全度合いが高い場合はIDとパスワードのみでログイン
- 怪しい場合には多要素認証を組み合わせる
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まとめ:少しでも不安があるならNFT転売は避けよう
お伝えしてきたとおり、NFTは未だ発展途上の段階にあり、進行のスピードも急速で将来的な動向については予測困難な面も多いのが現状です。
NFT転売には、まだ表面化していないリスクが潜んでいる可能性も否めません。
現時点で考えられるNFT転売のリスクは、次のとおりです。
【情報セキュリティから見たリスク】
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【投資目的でのリスク】
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いくらリスクに気を付けていたとしても、今後NFTの市場規模や成長スピードと比例するように「想定を超えた展開」や「予想もしなかった課題」が生じることも十分考えられます。
また、NFT周辺の法整備が整っていないため、トラブルが起きても相談先が曖昧だったり、責任の所在がはっきりしなかったりなどのリスクもあります。
これらの理由から、NFT転売は「お金儲けの手段としてあまりおすすめできない」というのが当サイトの見解であり、少しでも不安があるならNFT転売は避けるのが賢明です。