2020年3月3日、「割賦販売法の一部を改正する法律案」が閣議決定されました。
AI・ビッグデータ活用などテクノロジーの発達により決済サービスが多様化する中、より安心・安全に取引を行える環境づくりが必要と判断されたためです。
具体的には
- 少額の分割後払い規制の導入
- 審査手法の高度化への対応
- QRコード決済事業者等のセキュリティ対策強化
といった措置がとられます。
なお、施行は2021年春頃とみられています。
目次
1.少額の分割後払い規制の導入
少額(極度額10万円以下)の分割後払いサービスについて、サービス提供事業者の登録制度を創設。
登録内容としては、純資産要件((資産-負債)≧資本金等×90/100をグループ又は5年以内に達成等)と、適切な限度額審査に関する要件を定めるとしています。
また、消費者保護規制やセキュリティ規制は従来のクレジットカード会社と同等のものが課されるようになります。
2.審査手法の高度化への対応
限度額の審査について、データ等に基づく新たな審査手法に対する認定制度を創設します。
具体的には経済産業大臣が認定する制度を創設。認定事業者は認定を受けた審査手法を用いることで、現行の支払可能見込額調査に代えられるとします。
認定にあたっては審査手法や内部管理体制を確認し、認定後も定期報告等を行い実施状況を監督します。
そこで著しく不適切だと判断された場合は、改善命令や認定取消しといった処置がとられます。
3 QRコード決済事業者等のセキュリティ対策強化
QRコード決済事業者等のセキュリティ対策も強化されます。
- 現行のクレジットカード会社
- 立替払取次業者
- 加盟店
に加えて、クレジットカード番号等を取り扱う事業者にも適切管理が義務化されます。
クレジットカード番号等を取り扱う事業者とは
- 決済代行業者
- QRコード決済事業者
- ECモール事業者等
などです。
QRコード決済についてはこちらの記事もご参照ください。
その他、
- 書面交付義務の見直し
- 業務停止命令の導入
といった措置もとられます。
経済産業省の公式サイトでは、この記事でまとめた情報に加え、概要資料等も公開されています。
気になる方は併せてご覧ください。
参考:「割賦販売法の一部を改正する法律案」が閣議決定されました│経済産業省
追記:2020年12月上記政令が閣議決定
「割賦販売法施行令の一部を改正する政令」及び「割賦販売法の一部を改正する法律の施行期日を定める政令」が閣議決定されました。
内容は
- 少額の分割後払いサービスの限度額等の設定:少額の分割後払いサービスの限度額の上限を10万円に設定。また契約の解除などの催告期間を7日に設定。
- 高度な審査手法を用いる事業者による契約の解除等の期間の設定:限度額10万円以下の分割後払いサービス提供時、契約解除の催告7日に設定。
- 報告徴収事項の拡充:割販法改正により規制対象となった少額の分割後払いサービスの提供者及び高度な審査手法を用いる事業者に対し、国が報告徴収することができる事項を規定。
といった形です。
上記の「少額の分割後払い規制の導入」に加え、少額の分割後払いサービスに対しさらに細かい設定がされるようになりました。
こちらの改正法の施行期日は令和3年4月1日とされています。
参考:「割賦販売法施行令の一部を改正する政令」及び「割賦販売法の一部を改正する法律の施行期日を定める政令」が閣議決定されました│経済産業省
割賦販売法の改正がされるなか時代にあった運営・対策を
割賦販売法の改正は繰り返し行われており、時代にあわせた運営・対策が求められています。
当記事でご紹介した改正内容は、少額の分割後払いをより安全に使えるようにするものが多く、極度額10万円以下の取引の需要が高まっていることが見てとれます。
需要が高まり利用者が増えればそれを狙った不正者も増加するので、事業者の方はセキュリティの強化も同時に導入するのがおすすめです。
当サイトを運営するかっこ株式会社は、ECサイト関連の不正を見抜く不正注文検知サービス「O-PLUX(オープラックス)」を提供しています。
後払いはもちろんクレジットカード決済でのチャージバック、なりすまし、代金引換注文での受取拒否などにも対応していますので、気になる方はぜひ併せてご覧ください。
また、後払いを導入する際は未払い時の対応など社内フローを設定しておきましょう。
具体的にどんな対応が必要になるかはこちらの記事をご参照ください。